組織 エンジニア

ペパボのエンジニアの各種制度 2020 夏

組織 エンジニア

執行役員 VP of Engineering 兼技術部長の @hsbt です。PS4 の Ghost of Tsushima が面白くて、毎日仕事が終わると対馬にいく毎日です。

2020年7月より、GMOペパボ(以下、ペパボ)では、パートナー(GMOインターネットグループでの従業員の呼称)全員の評価の制度と報酬をアップデートしました。エンジニアについても同様に従来の制度をベースにしながらアップデートを行っています。ペパボのエンジニア職位制度は2015年に導入した制度をベースとしながら2020 年までの 5 年間に主に以下に示すアップデートを行いました。

  • シニア(以上の)エンジニアの評価基準の細分化(例: 4.1等級-4.4等級など)
  • シニア以上の報酬の大幅な増額
  • エンジニアリングマネージャ(テクニカルリード、チーフテクニカルリード)の導入

先日、エンジニアの評価について、ベースとなる制度へのパッチも含めて、改めてペパボのエンジニア職位制度と制度の位置付けを社内に共有する機会があったので、その内容をご紹介します。

ペパボのエンジニアのキャリア構造

2020/7 時点のペパボのエンジニアのキャリアラダーは以下に示す図の通りです。

今回の制度変更では、従来チーフテクニカルリード(CTL)と読んでいた、エンジニアリングマネージャの等級を5等級から6等級へと昇格しました。また、役職の呼称もシニアエンジニアリングリードと名称を変更しています。同様にテクニカルリードもエンジニアリングリードと名称変更を行っています。この等級と呼称の変更の意図については後ほど解説を行います。

従来よりエンジニア同士で行っていた技術力の三つの評価軸は以下の通りです。

  • 作り上げる力
  • 先を見通す力
  • 影響を広げる力

今回、これらの三つの軸は、ペパボのパートナー全員に対して、それぞれの職種に応じた専門性を評価するための軸として利用することにしました。エンジニアにとっては、従来から行なってきた専門性=技術力の評価の軸のため、大きい変更はありませんでした。しかし、デザイナやディレクター、バックオフィスなどの他の職種も含めた共通の軸を用いて評価できるように、等級ごとの達成レベルを社内全体で統一した基準として等級ごとに求められる要件を作成しました。

この結果、社内全体で職種を問わず、等級ごと同じ要件と基準で評価を行うことが可能となりました。エンジニアにとっても、従来は評価の過程でのみ明らかとなっていた基準が、明文化されることにより、現在または次の等級でなすべきことが会社として明確に打ち出せたと思います。

エンジニアリングマネージャの役割の変更

次に SEL や EL の役割についても、今回の評価制度のアップデートに合わせて変更を行いました。従来、ペパボの評価制度ではアクション評価とグレード評価という二軸があり、SEL(当時は CTL)はエンジニアリングマネージャとして、エンジニアのグレード評価を担当してきました。

今回、アクション評価については廃止され、等級に対する要件を満たしているかどうかを評価するグレード評価のみとなりました。従来のグレード評価をエンジニアリングマネージャである SEL や EL のみで行なってしまうと、エンジニアが所属している事業部門を統括している部長やマネージャが評価に関わる余地がなくなってしまいます。そこで、グレード評価のうち、作り上げる力の一部と影響を広げる力については事業部門で評価を行い、その他の軸については引き続きエンジニアリングマネージャが行うように変更を行いました。

評価、というものは人の行動や組織の形成に有意に働く性質があります。評価をエンジニアリングマネージャの中でのみ完結させるのではなく、事業部門にも関わってもらう形にしたのは、部門ごとに持っているミッションやゴールについてエンジニアそれぞれが専門性を持って動いてもらいたいという意図があります。

2020年以降のエンジニアリングの方向性

続いて、アップデートした制度を用いてペパボのエンジニアから構成される組織がどのようなミッションやゴールを持っているかについてご紹介します。まず、ペパボのエンジニア組織は CTO である @kentaro がコンセプトを作り、私、柴田が実装や推進を行うという体勢をとっています。

上記の図に示す通り、ペパボは事業部制をとっているため、エンジニアはサービスをもつ事業部門の事業部、または後述する技術部などの横断組織のいずれかに所属します。

そのような中で、事業部門ごとに SEL を配置し、CTO の栗林と VPoE である柴田が SEL や EL、シニア以上のエンジニアの評価を担当し、SELやEL、シニア以上のエンジニアがジュニアエンジニアを評価するという評価の構造を持っています。このように部門に所属しながらも、専門職の中で評価の仕組みや構造を形成することで専門性についても評価を行い、各自が成長や能力に見合った報酬を得ることができる仕組みを作っています。

また、サービスを持たない事業部、2020/7 現在は技術部、デザイン部、CTO室、セキュリティ対策室などに所属しているエンジニアは、CTO の栗林と VPoE の柴田が直接横断に関する活動をリードしています。この部門に所属しているエンジニアは、専門職としては SEL や EL 、所属部門としては、技術部であれば部長である柴田によって評価のプロセスを進めます。

まとめ

以上、ペパボの 2020 年 7 月時点のエンジニアの評価制度や組織の位置付けについてご紹介しました。この評価制度に関する資料ですが、ペパボに興味を持っていただいたエンジニアの方にその都度共有して説明を行うよりも、公開してしまった方が早いと思いますので、以下で公開することにしました。

エンジニア組織と職位制度のアップデート v2020.07

資料に出てくる社内向けの文章については、入社いただいた場合は読むことができるので、ご興味のある方は是非選考フローへの応募をお願いいたします。