読書会の開催
「チーム・ジャーニー 逆境を越える、変化に強いチームをつくりあげるまで」の読書会を実施しました。 この本では、あるベンチャー会社のソフトウエア開発チームが”グループ”(個人活動の集合)の状態から成長していくストーリーとともに、チームの規模や段階に合った考え方・プラクティスについて書かれています。
minneのプロダクト開発ではスクラムを導入しており、複数のスクラムチームで開発施策を進めています。また、minneではここ数年で部署内のチームを再編成したため、新しい体制で開発チームがどうあるべきかを考えて行動しなければなりません。そういった状況の中でチームでの開発をよりよいものにするためのヒントがあると考え、この本を読書会で読むことにしました。
また、今回はminne事業部だけでなくSUZURI事業部の @kawai や技術部の @komatun が参加し、minne以外の部署のメンバーを交えての開催となりました。
各メンバーの感想と今後のアクション
yanagi
本書の第5話で「チームの差分(DIFF)を取ることでチームの次の方向性を見いだす」方法について書かれています。 差分には未来との差分・過去との差分・他の現場/チームとの差分の3通りがあり、それぞれチームを中心に捉えて差分を取ることができます。
読書会の中で「昔はこうしてたけど、今はこういう理由でこうしてる」という過去の話や「目標にむけてこういう施策をしている」という未来の話、また「minneのチームと違ってうちのチームではこうしている」というチームを比較した話が挙がることが多くあり、いろんな方位の差分を知ることでminneの歴史や他の事業部のやり方を知る機会になりました。
チームやプロダクトを今後さらによくしたい・次の方向性を考えたいと考えた時に、現在なぜこのやり方をとっているのかを知らないと新しい提案をするのは難しいと思います。 今回の読書会はチームに入ってまだ半年もたっていない自分にとって、チームのあらゆる方向の差分を知ることができた有意義な時間になりました。
daiki
今回の読書会は、「そうそう、自分たちも悩んだよね。」となるストーリーが多く、過去にチームが悩んできたアンチパターンを最近入社されたパートナーと共有するいい機会となりました。 本書の題名にもなっているチーム・ジャーニーそのものをリプレイでき、また、物語調で大変読みやすかったと思います。
本書全体を通してチームにはそれなりの人数がそろっているものの、それぞれの役割やチームの目的によってその成果が左右されるということを明確にしてあり、チーム運営をしていく上で具体的に解決しなければならない課題事項が提起され、その解説が丁寧に述べられています。
チームの運営にあっては、過去・現在・未来の状態をバランス良く見定め、どうあるべきか、どうできるかを継続して考え、改善しなければならないと改めて再認識したので、今後のminneプロダクト開発に携わるチームで実践していこうと思います。
hikari
関わったチームの変遷を振り返り、こんな時はどうすればよかったのか?という答えが出ない状況がこれまで多かったため、事例紹介による気付きが多くありました。個性が際立った登場人物ばかりで楽しかったです。
特に印象的だったのが、プロダクトの方向性を考える時より目指したいことは視座を高く・視野を広く持つことではなく、「高低、広狭を自分たちの意思で行き来できること」というものでした。一見、チームにとっては不安要素が大きいと感じましたが、
- 全員で視座・視野を固定化せずチームの多様性を武器に物事を考える
- 常にチームの思考・行動に問いかけをし、思考停止や選択肢を狭めてしまっている状態に陥らないようにする
といったことはチームで取り組むからこそおもしろい結果が生まれると思いました。自分自身、視座の高い人や答えを出すのに長けている人につい頼ってしまうところがありましたが、チームでいるからこそ一人一人の力でもっと良くできることを忘れず行動し続けたいです。
tsumichan
本書の第1部は、複数人の集まりがチームとして機能するまでの話であり、今すでにプロダクトチームが誕生してから長く続いているminneでは直接実践できる内容は少なく「なるほど〜」と思いながら読んでいました。第2部ではチームとチームが協働する話であり、読書会開始当時のminneのチーム体制と似ていた(今はチーム体制が変わっています)ため興味深く、自分のチームと比べながらじっくり読み進めました。
本書では、チーム間でのさまざまな分断を乗り越えて情報の流通経路を作ることを「越境」と表現しています。私は特に「役割からの越境」が興味深く、チームで実践してみたいと思いました。
「役割からの越境」とは、役割に特定のメンバーを固定するのではなく、状況によってメンバーそれぞれがその役割を「リード」として担うことであると書かれています。職位である「リーダー」ではなく「リード」なので流動的で、ある分野が得意で強い人というイメージです。本の中では、テクニカルリード、仮説検証リード、テストリードなどが例として挙げられています。
どこのチームにも、「ある分野が得意で強い人」がいると思います。それを流動的にいろんなメンバーが担うことで知見やスキルが平準化され、メンバー個人のスキルアップにもつながるため、チームの成長のためにぜひ取り入れてみたいと思う仕組みでした。
yamachan
「チーム・ジャーニー」を読んで、「むきなおり」という言葉がとても印象的でした。むきなおりとは、チームの未来に目を向けてありたい方向性を見定めることと書いてあります。
自分の所属するチームや組織のことを思い返してみると定期的にふりかえることはしていたのですが、未来に目を向けるむきなおりはほとんどしたことがありませんでした。ではなぜ、むきなおりができていなかったのだろうかと考えてみると、未来の不確定な状況に対して話し合うことが非効率であり、全てが確定した状況で話し合った方が効率的だという考えがチームや組織にあるのではないかと思い至りました。
しかし、むきなおりをせず、理想とズレた方向に進み続けるとふりかえりで反省することが増え続け、理想に近づくことができません。本書を読んで、チームが理想の方向へ進んでいくためにむきなおりをすることの大切さに気づきました。
yagijin
自分の所属しているチームとの比較をしながら読むことで、チームの規模や目的に応じたチーム作りについて考えることができました。
とくに印象に残っているのはチームのミッションを決めたり、むきなおる(yamachanの項にて説明)過程がチームの成長段階によって異なっていたことです。
チームの編成時には同調圧力からチームとしてのミッションが決まってしまうのを避けるために「自分はなぜここにいるのか」という個人のミッションを考えることから開始し、ある程度チームが成長してからむきなおりを行う際はチームのミッションやそのために何を大事にするのかについてを先に考えてから個人のミッションを考えることでチームのミッションを個人が妨げることを防ぐことができるという紹介がされていました。こういった工夫はチーム作りの参考になりました。
tomozo
一番印象に残っているのは「状況に応じてチームのファースト(方向性)を変えていく」ことでした。書籍の中ではチームファースト、プロダクトファーストの2つが登場していました。
状況は日々変化していくため、その中でいまは何に・どの方向に向けて注力すべきなのか? を状況に応じて見直していく必要があります。 ファーストの見直しができるように、チーム運営に対してもミッションの定義や、評価・計測できるような指標を設けることで、より柔軟で強いチームに成長していくのだと思いました。
komatun
「チーム・ジャーニー」における「段階の設計」の考え方が印象に残りました。たどり着きたい目的地をいきなり目指そうとするのではなく、目的地への段階を設定し、状況を踏まえて段階を組み直しながら、一歩ずつ前進することが大切なのだと認識しました。チームの一員として、自分自身が成長していくための道のりを組み立てる上でも、段階の設計の考え方を取り入れようと思います。
「チーム・ジャーニー」の読書会には、ペパボの複数部署からメンバーが集まりました。読書会を通じて、それぞれのチームでの課題感や取り組みを意見交換することでお互いの開発風景を共有できて面白かったです。本書においては、日常の活動を続けるだけでは遭遇できない会話や学習を意図的に作り出すためには非日常な場づくりも必要になることが述べられていましたが、この読書会はそういった会話を生み出す場としての役割を果たしてくれていたように思います。
まとめ
今回チーム・ジャーニーを読書会で読むことによって、本の内容を深く理解するだけはなく、自分たちのチームについて考え直すことや話し合うことができました。
読書会で得た知識を活かし、これから変化に強いチームをつくりあげていきたいと思います。