読書会

『入門 考える技術・書く技術 日本人のロジカルシンキング実践法』の読書会を開催しました

読書会

先日、社内で『入門 書く技術・考える技術 - 日本人のロジカルシンキング実践法』の読書会を実施しました。この読書会は、技術部プラットフォームグループのメンバーを中心に、文章を書く技術の向上を目的として実施したものです。本エントリーではこの読書会の趣旨や参加者の学んだことを報告したいと思います。

この読書会の趣旨

読書会を主催した @bob から読書会の趣旨についてご紹介します。

マネージメントをする立場として、毎週1on1を実施しています。この時、入社まもないメンバーが文章を書くことに苦労している点に気がつきました。ペパボではGitHubやNotionにSlackとテキストコミュニケーションで自分の考えをロジカルに伝える機会が多く、読み手を意識したやりとりが要求されます。そもそも、ソフトウェアエンジニアとしてテストやコードにレビューと書く機会が多く存在します。そのやりとりをスムーズに行うために、書き方の型(読み手に合わせてわかりやすく伝える手法)が必要です。これを身につけるためには、日々の文章を書く機会を増やすだけでなく、その精度を上げる機会が必要と判断しました。よって、その対策に『入門 書く技術・考える技術』の読書会を主催しました。

本書の概要と選書理由

『入門 書く技術・考える技術 - 日本人のロジカルシンキング実践法』では、ビジネス文書を書く際に必要な、ロジカルシンキングを学べます。 ここでのロジカルシンキングとは、論理的に正確な文書の内容を組み立てることを指しています。 前半はロジカルシンキングにおいて国際的に標準となっているフレームワークの紹介を通して、その基本を解説しています。 また、日本語でロジカルシンキングする上での日本語話者向けの落とし穴を解説している点が本書の特徴です。

後半は「書く技術」とタイトルにあるとおりで、書き方の技術が学べます。 ロジカルシンキングを軸にパラグラフ(段落)の組み立てや、改行や接続詞の必要性と読み手を意識した書き方が学べます。

本書はロジカルシンキングの初学者に向けて書かれています。本書を足掛かりとして他のロジカルシンキング・テクニカルライティングの本を自習できるようになると判断し、今回の読書会の題材に選びました。

読書会の進め方

読書会は次のように進めました。

  • 週1回・1時間・オンラインとオフラインのハイブリッドで実施する
  • 1回に1章分を取りあげる
  • 週替わりで1名がその日に取りあげる章の要約をNotionに作成する
  • 回の初めに要約を元にその章の内容を全員で確認する
  • 読んでいて生じた疑問や自分が文章を書く際の悩みなどを元にディスカッションする
  • 会で出たコメントなどはNotionにまとめる

各参加者の学んだこと・これからのやっていき

読書会を終えて、各参加者の学んだことや、それをもとにこれから何をやっていくか、ご紹介します。

pochy

この本を読んで私が特に取り入れようと思ったのは、意味を明快にするためのライティング手法です。 その内容は次のようなものでした。

  • 名詞表現や体言止めは使用禁止とする
  • 文章の主メッセージは単一の文で表現する
  • 「〜〜し、」「〜〜であり、」「〜〜して、」「〜〜だが、」などの接続詞は文同士の論理関係を不明瞭にしてしまうため使用禁止とする

体言止めや曖昧な接続詞は考えを曖昧な方向に引っ張ってしまいがちであるという主張は、私にとって新鮮な考えでした。しかし、自身の経験に照らし合わせると強い納得感を得ることができました。

また、"So What?"を繰り返し自問自答するという手法も有用なテクニックだと感じました。文章で本当に伝えたい具体的なメッセージを自分の中で明確にすることは、伝わりやすい文章を書くために必要な作業です。上記の「文章の主メッセージは単一の文で表現する」を達成するためにも、自分の中で"So What?"を反復する思考法が役立ちそうだと思いました。

この本で学んだ以上のような技術を使うことで、今後は明快なライティングをしていきたいです。

yuchi

この本の中で意識して取り組もうと思ったことは「自分勝手な文章に気づく」ことです。

例として「社内の地位が上がるほどに目を通さなければならない文書の量が膨大になるため、わかりにくい文書の存在は仕事上のボトルネックになってくる」というフレーズが印象に残っています。 自分の書いたものが「わかりにくい文書」にならないために「これで読み手は理解できるだろうか」「これで納得するだろうか、他に疑問を持たないだろうか」と自問自答("So What?")をして少しでも疑問があればピラミッド構造からやり直すということを意識したいと思いました。

今まで文章を書くときは「頭で思ったことをそのまま書いていく」「足りないと感じた部分は後から付け足して書いていく」と言ったような書き方をしており、これを改善したいと思っていた中で開催された読書会だったので、上記で書いたこと以外にも学びが多かったです。 業務ではチャットツールからドキュメントまで相手に見せる文章を書く機会が増えてきているため、この本で学んだことを実践していきたいと思います。

homirun

この読書会を通して、読み手の関心や疑問に向かって文章を書くという点が特に学びになりました。

本の中では、自分の書いた文章の読み手が誰で何に関心を持っているのかということを念頭に置いた上で、読み手の関心に対する答えとなる文章を書くことが大切だということが述べられています。 これまで自分が文章を書いていたときのことを振り返ってみると、ただ自分の伝えたいことをひたすら文章にするということが多く、読み手が誰であるかということやどういうことが聞きたいのかということを考えておらず、いわゆる独りよがりな文章となっていたことに今更ながら気がつきました。

この読書会以降、レビューなどのコミュニケーションにおいても必ず読み手を意識して文章を書くようになりました。引き続きこの意識を忘れずに続けていきたいと思います。

naryo

この読書会に参加して、文章を書くときの 読み手 への意識がかなり変化しました。今までは、一つの文章にできる限り多くの情報を詰め込んでしまうなど、逆に読み手に混乱を招くような文章構成となってしまい、自身の伝えたいことが、なかなか伝えられない状態となっていました。 読書会を通じて、本書で出てくる「ピラミッド原則」にのっとって、読み手の立場から主たるメッセージ(最も重要な考え・1番伝えたいこと)を絞り込み、考えを整理し、組み立てて文章に落とし込むという一連の流れがとても参考になりました。 考えるプロセスと書くプロセスを分け、文章を書く前の段階で、伝えたいことをきちんと構造化していくことがとても重要だと感じました。

また、一つの本を複数人で読み進めることによって、自分一人では得られないさまざまな視点や気づきを得ることができ、非常に学びが多くとても有意義な会となりました! 今後はここで学んだ考え方や手法を実践しながら、読み手に伝わりやすい文章を意識して書けるように日々練習していきたいと思います。

harukin

読みやすく説得力のある文章を書くには、文章のピラミッド構造を意識すると良いということが特に勉強になりました。文章のピラミッド構造とは、ピラミッドの頂点を「結論」とし、その根拠をピラミッド状に積み上げていくことです。実際に文章のピラミッド構造を意識すると、これまでよりも文章が書きやすくなりました。

今回の読書会で学んだことを日頃から意識して、チャットでのコミュニケーションやドキュメント作成などでも実践していきたいと思います。

また、自分ひとりでは気づくことのできなかったことに、気づくこともできたのでとても有意義な読書会になりました!

watasan

私は文章を書いているときに、そもそも「何を書くか」ということをうまくクリアにできないことが多く、そのためか書く前から気が重くなってしまうことがしばしばあります。

そんな私がこの本で学んだことは、「書くことをクリアにする」ための考え方とテクニックです。 この本では「ピラミッド原則」と呼ばれる、文章で伝えることの骨組みをピラミッド構造として表現するという原則と、その構造を作るためのテクニックを紹介しています。 この構造を文章を書く前に作ることで「そもそも何を理解してもらうのか」「そのためにどういう情報を伝えるのか」をクリアにできます。

思い返すと、文章を書く前にあれだけ気が重かったのは、書くことをどうクリアにしていけば良いか、その「型」がないまま暗中模索していたからだと思います。 本書はその型を伝えてくれるものなので、今後は文章を書く際にまず本書を読み返して、意識的に型を実践していきます。 そして、無意識に型を利用できるように、繰り返し訓練していきたいと思います。

自分の悩みに対する処方箋のような本に出会うことができたので、この読書会に参加させていただいて本当によかったです!

ねもつ

文章を書くときに気づくと抽象的な内容に着地してしまって、言いたいことをうまく伝えられないことが長年の悩みでした。 この本はそうならないための方法を、まさに考えるところから書くところまでカバーしています。 今後は要約メッセージと個別の項目が相互に対応しているか?という視点でチェックすることで、この悩みとオサラバしたいと思っています! 具体的には評価資料や施策issueを書くときや、自身の疑問点の洗い出しをするときなどに上記のポイントを意識しながら考え、書いていこうと思います。

また、読書会は参加者の方の考えや内容にひもづく知識も一緒にインプットできました。 それによってさらに内容理解を深めたり、自分に向いていそうな文章の考え方、書き方を見つけるきっかけになりました。

まとめ

読書会に参加したメンバー全員が共通して「今後、文章を書くときはこの本を参考にしたい」と感じたようです。

ペパボではアウトプットを推奨する文化があります。 今後はこの読書会で得た知識を、社内で書く文章だけでなく、社外へアウトプットする文章にも生かしていけると感じました。

文章や文書を書くときに悩まれている方は、ぜひこの本を読んでみてはいかがでしょうか。