開発プロセス

ユニコーン企業のひみつをご恵贈いただきました。

開発プロセス

はじめに

SUZURI事業部のシニアエンジニアリングリードの黒瀧です。 @kakutani さんの企画にてユニコーン企業のひみつ――Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方をご恵贈いただきました。ありがとうございます!SUZURI事業部で実践してきたことと、これからすぐに取り組めそうな事を気づかせてくれたので、その中から一つテックブログに書きます。

本書の中でも「自律、権限、信頼」という話が出てきましたが、ペパボにもわたしたちが大切にしている3つのことという行動指針があります。みんなと仲良くして、信頼しているからこそ権限を与えて、一人一人がたくさんのアウトプットを産み出すことに繋がっています。CTOのあんちぽさんがやっていき、のっていき/The Secret of Leadership and Followershipで書かれていますが、やっていき・のっていきの文化があるため、失敗を恐れずに多くの事を取り組めていますが、Spotifyの事例を見ていると、ペパボでも、もっとおもしろくできる!というポイントが沢山あったので、これからも本書を参考に実践していきたいと思います。

今回はkurotakyがSUZURIでの事例と今後取り組みたいこと、nyanyamiが本書のレビューワーに参加した感想、hsbtがペパボのエンジニア組織の現状と差分を書きました。

SUZURIでの事例

この本では「第4章 トライブでスケールさせる」に組織のスケーリングの課題とSpotifyモデルについて書かれています。Spotifyの組織モデルを参考にSUZURI事業部のプロダクトチームでも、スクワッドやチャプターのような取り組みを始めました。この話は以前、ペパボテックブログの最速でプロダクトを成長させるために、SUZURIのプロダクトチームの開発体制を見直した話で書きました。 実際に4ヶ月くらい、この体制で運用していて、良かったところと新たな課題も見えてきたので、この本を読んで早速トライしてみたいことを考えました。その中の一つが次に紹介するCompany Betです。

Company BetとDIBB

会社または事業部で取り組みたい重要事項が終わらせたい順で並んでいるリストをCompany Betといいます。たとえば、あなたの事業部、または会社で「次の四半期優先事項トップ3は何ですか?」という問いに事業部に関わるメンバー全員が答えられますか?また、全員が答えたトップ3の優先順位は一致しているでしょうか?各々が自律してやっていき・のっていきのループをまわしていく中でも、事業部や会社としての方向性や全体感を持つことは必要です。そのためにCompany Betを作って運用していくことで、自律して意思決定をしながらも、方向性は見失わずに進めるんじゃないかと考えています。

また、この本ではDIBBというフレームワークが紹介されていて、Data、Insight、Belief、Betの頭文字を取ってDIBBと略します。Company Betを決めるためにデータやインサイトを元にリストを作っていきます。DIBBは「データに基づいてインサイトを得て、そこからチームとして確信と仮説を持ち何に取り組むかを決める」ということですが、ここは今まさにデータ基盤チームが取り組んでいるところです。データからインサイトを得て、事業部全体で取り組むことを俯瞰できるようになると良いと思っています。

まとめ

この本を読むことで、私自身SUZURI事業部の組織を作っていくために、今できていること・できていないことが整理できました。今回取り上げていない「これから取り組んでいきたいこと」はまた別の機会に紹介できれば幸いです。

「ユニコーン企業のひみつ」は職種や役職関係なくテック企業で働く方全員におすすめの本です。 ぜひ手にとって、チームで読んでみて下さい。すでにペパボ社内でも様々な職種の人が手に取り始めたので、みんなで共通認識を持って、最高のチームで最高のプロダクトを育てていきたいと思います!

レビューワーとして参加して

EC事業部のエンジニアリングリードの@nyanyamiです。 今回、こちらのツイートをきっかけに初めて翻訳のレビューワーとして参加しました。応募者多数だったようで当選してとても嬉しかったです! 翻訳はGitHubを活用して進められており、レビューワーは好きな単位でIssueを起票してフィードバックを行うという形式でした。 レビューワーに求めていることが本書の2章にも出てくるミッションとして掲げられており、どのような観点で読み進めていけば良いのか、求められているフィードバック像は何か、明確になっていてとてもコメントしやすい雰囲気になっていました。 訳者からのコメントがもらえるとちょっと嬉しい気持ちになりましたし、フィードバックを元に書籍に反映された箇所もあるので役に立てて良かったなと思います。

当時のコメントやメモを見直すと、ちょうどチームが過渡期だったこともあり、1〜4章がすぐに使える内容と感じ、どう活用していけばチーム運営がうまく行くかな?と考えていたようです。本書をもとに既に出来ていること、これからやるべき事についての理解をより深める事ができました。この本に書いてある内容について熱く皆と語り合いたい気持ちが湧いてきたのですが書籍が出るまでは内容をばらすわけにはいかず、ネタを小出しにしながらこの4ヶ月ほど過ごしていました。

堂々と語り合えるようになった今、完成した書籍を片手に5章以降のこれからの未来について語り合い、成長し続ける事が出来る企業であるために何をすべきか取捨選択していきたいと思います。

ペパボのエンジニア組織の現状との差分

こんにちは、執行役員 VPoE の柴田です。上記の企画とは別に発売日に読んだので駆け込みで感想を寄稿したいと思います。

「ユニコーン企業のひみつ」はいわゆる Spotify モデルと呼ばれる組織構造について解説した本ではありますが、組織やチームの構造に限らず、何故そのような構造が出来上がったのか、成し遂げたいことはなんなのかなどの方がよりフォーカスされるべき内容と感じました。

ペパボではホスティング事業部でチャプター、スクワッド、ギルドと類似した組織構造を作り始め、今では上述したような SUZURI 事業部や EC 事業部でも似たような状態となっています。構造は動き出していますが、結果としてのプロダクトやメンバーの成長はまだ足りていないと感じているため、足りていないパーツは何か、ということをこの本で補完することができました。

本書では、スクワッドごとにデリバリーの権限をもつとありますが、私が注目したのはスクワッドごとのデリバリー、つまりリリースが他のスクワッドの活動には影響を与えずにプロダクトとして動くという点でした。これはソフトウェア開発を行ってデリバリーを行っている方ならわかると思いますが、技術的には難しい領域と思います。

Micro Services などはこの活動を実現する手段の一つと思いますが、アーキテクチャを変えるだけではなく、チームの権限や人の活動に着眼してエンジニアをはじめとするスクワッドのメンバーに生産性高く仕事をしてもらうためには何が必要か、改めて自分が VPoE としてやるべきことを考えさせられました。

まとめ

アジャイルはもはや競争力ではない、というまえがきに始まるように、「Spotify はこれだけやっている、ではあなたの企業は?」と問いかけてくるような本のように感じました。ソフトウェア産業の中で何を競争力にするのかを考え実践していくためのきっかけを与えてくれたように思います。