Pepabo IT

GMO ペパボのリモートワーク状況 2020

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執行役員 VP of Engineering 兼技術部長の @hsbt です。ペルソナシリーズが大好きなので 2/20 発売の P5S をプレイしながら週末を過ごすのを楽しみにしています。

昨年は GMO ペパボの社内IT環境 2019 - ペパボテックブログ というエントリでペパボの社内 IT 環境についてご紹介しましたが、本エントリでは 1/26 より開始している GMOインターネットグループの在宅勤務体制 から始まったペパボのリモートワークの状況について社内 IT 環境にフォーカスしてご紹介します。

ネットワークへの影響と対応

ペパボでは、ほぼ全社員が SSL-VPN を利用することができます。この SSL-VPN は毎年行われる在宅勤務訓練の際に、利用方法やマシンで実際に使えるかを確認しているため、今回の在宅勤務体制への移行時には大きいトラブルはありませんでした。改めて訓練の大切さを実感しています。

しかし、SSL-VPN は全社員が長期にわたって同時に使用する想定ではないため、在宅勤務体制へ全社員が移行した直後は、社内に存在する共有のファイルサーバーへのアクセスなどが、利用者によっては帯域が小さくなり、業務に支障が出るという状況が発生しました。この問題については、コーポレートエンジニアリンググループ(以下、CEG)を中心に改善策を適宜講じています。

一方で、サービス開発の環境については、VPN による制限ではなくゼロトラストネットワークの考え方に基づいて、IP以外の認証・認可の機構を準備してきたため、VPN を用いなくても社内にいる場合と同様に開発ができる環境が広がっています。しかし、準備が整っていない環境ではまだまだ IP による権限管理を採用しているシステムも残っています。そのような環境においても快適に業務に従事できるように整備をするよう、技術基盤チームを中心に対策を指示したところ @pyama86がプロトタイプを作ってくれました。

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まだ社内全てへの展開ができているわけではありませんが、在宅勤務体制を1ヶ月以上継続しても快適に業務に従事できるようにするために全員が試行錯誤しながら仕組みやシステムをアップデートしています。

物理的に出社が必要な場合の対応

ペパボでは原則として在宅勤務の体制を維持しています。しかし、社印の捺印が要件として求められている契約書類や紙でやりとりが行われる経理書類などを対応するために、一部の社員はオフィスに交代で出社して対応しています。 2/20 現在ではおよそ1割にあたる 40 名ほどが出社しています。その場合においても、検温による発熱がないかを確認し、所属部門の部門長(=部長)が出社する妥当な理由を確認した上で出社を行うことにしています。このような中、オフィスに出社している方に感謝する毎日です。

ペーパーワーク以外にも、社員が利用しているマシンのセットアップや、在宅時に故障、リースの期限切れに伴う交換などは、まだまだオフィスで対応する必要があります。ペパボでは macOS の場合は Jamf を用いてプロビジョニングなど集中管理をしていますが、インターネットである WAN を経由しても実行できる環境にはまだありません。Windows と macOS の両方において、貸与マシンをオフィスに集めなくても、直接社員の家へ送付してプロビジョニングができないか先ほどの CEG にて調達から検討を進めています。

コミュニケーションへの影響

ペパボでは在宅勤務開始前から、テキストのコミュニケーションは slack、音声のコミュニケーションは Meet を用いています。そのため、サービス開発におけるチェックポイントとなるようなイベント、例えばふりかえりなどは問題なく行えています。

一方で、在宅勤務も一週間くらいは物珍しさからリモートワークを楽しむ声もありましたが、一ヶ月近く、継続するとコミュニケーションについて様々な懸念が出てきています。例えば、一人暮らしの人は人と会わなくなったことから来る孤独感、新しく入社された方へのオンボーディングや研修をどうするか、等をどのように解決すべきかが今後の課題と感じています。

また、従来は対面でのコミュニケーションが多かったため、ノンバーバルなコミュニケーションが可能だったものが、カメラとディスプレイを通すことでわからなくなってしまった、という声も聞きます。私の部門では、リモートでコミュニケーションをする場合は、カメラをつけてノンバーバルな情報もできる限り双方で得られるようにしていますが、社員全員という枠だと、自宅の風景を映したくないかたなどもいるので、そのような場合でも本人は写せるような何かしらの工夫が必要と感じています。

リモートの打ち合わせも回数が続くとマンネリ化してきます。今週に入ってからは、画像のように買った薪ストーブを自慢するような、仕事以外でも最近の出来事をみんなで話したり、被り物を被って笑いを提供したりするなど、チームのコミュニケーションの濃度を維持するための工夫を行っています。

まとめ

GMO ペパボの在宅勤務体制について紹介しました。最後に在宅勤務が始まって1週間たった時点のアンケート結果をご紹介します。

グラフを見て分かる通り、一人で行う作業については定性的な回答として生産性の向上を感じると答えた人が多い結果に対して、コミュニケーションを伴う作業については生産性が下がったという回答が上がったという回答を上回っています。また、定性的に上がったという回答があったとしても、実際のサービス開発におけるデプロイ回数が実は減っている、コードのレビューと対応完了のリードタイムが伸びているということもあるかもしれません、逆に生産性が下がったと感じるコミュニケーションも場所にとらわれず開催できるようになったことで成果の質が上がってる、ということもあり得ると考えています。

これらについては定性的、定量的の両方で引き続きモニタリングを行い、在宅勤務は行う、業務の成果も出すという両方をできるように進めているのが2月後半のペパボの状況です。まだまだ試行錯誤を続けている最中なので、在宅勤務を行うときのノウハウは積極的にインプット・アウトプットの両方を行っていきたいと思います。