はじめに
EC事業部シニアデザイナーの小山田 @oyamada です。この記事では、デザイナーを対象に行ったユーザーテスト勉強会について、その狙いとプロセスをご紹介します。
ユーザーに価値あるサービスを提供できるようになるために
以前紹介した「ペパボデザインリサーチやっていき」で述べたように、全社的にユーザーの実態を可視化する力を高め、サービス改善に活かす動きを行なっています。その中で、デザイナーを対象に「どのぐらいユーザーリサーチが行われているか」を把握するため、アンケートを行いました。
上記にて示されたように、7割のデザイナーがユーザーテストを行なっているようです。しかしながら、行っているものの、その手法について深く理解出来ているかは測りかねる状況でした。組織としてデザインする力が高まり、角度の高いアプローチができるよう、この強化が必要だと考えました。
なぜ最初にユーザーテスト勉強会なのか?
ユーザーリサーチには様々な手法がありますが、最初にユーザーテストを扱うことにしました。理由としては、他の手法と比べて短期で効果が出やすく、また、被験者のリクルーティングの都合も含め、手軽に実施でき、改善点を洗い出すことも比較的簡単であることが挙げられます。開発工程の中にユーザーテストを取り入れるメリットをデザイナーが主張できるようになると良いと思いました。そのため、ユーザーテストという手法をデザイナー全員が脳内に置き、適宜取り出せるようにしたいため、勉強会を行うことになりました。
ハンズオン形式とディスカッション形式
勉強会の形式は、「ユーザーテストとは」と言う説明・実施例などについての動画を見てもらい、その後、参加者同士でディスカッションを行うようにしました。ペパボのデザイナーは41人(2021/10/28現在)ですが、ディスカッションが活発になるよう、各部署単位(10人程度)の規模で行いました。手法についての説明を行うだけでなく、普段行っているユーザーテストの疑問点などを出してもらい、実践に活かせるよう工夫しました。
以下はディスカッションで話した内容をご紹介します。
「ユーザーテスト中に被験者の操作を疑問に感じた場合はどう声がけしたら良い?」
- なるべくシナリオ通りにテストを進めたい
- 被験者の動作が本筋から逸れてしまったり、動作の背景にある気持ちを知りたかったりする時、テスト中に声かけすると誘導尋問になる恐れがある
- 誘導尋問にならない工夫。テスト後に振り返り時間を設けてその際に質問するようにしよう
「被験者を社内外で集めるのが大変だがどうしたら良いか」
- テストの目的別に被験者を分けると良い
- 簡易的なユーザビリティのチェックであれば同じ部署の人間で大丈夫
- 予め「目指す理想像と、テストを行う目的」というドキュメントを作っておいて、依頼時に示すと理解を得られやすい
- 社外ユーザーに対してはユーザビリティのチェックよりインサイトの発掘を重視する
「開発工程にユーザーテストを含めたいが、具体的な工数はどのぐらい見積もれば良いか」
- 被験者1人、インタビュワー1人、観察者1人でテスト30分+振り返り30分を5セット(合計約2人/日)程度で見積もると良い
- 振り返り時間で改善策を話し、開発チームに提案できる形にすることが大事なので、テスト時間と同じ程度の時間を見積もっておくと良い
まとめ
上記のようにでディスカッションを行いながらユーザーテストへの理解が深まりました。それぞれの部署で実施する際に、よりカジュアルに実施され、施策への貢献が高いユーザーテストを行えるようになったと言う感想がありました。我々は組織として、個人の能力に依存せず、カジュアルにデザインリサーチをできる体制を作り、サービスをより価値あるものにしていきます!