はじめに
鹿児島エンジニアリングチームの吉本 @yoshikouki_ です。スプラトゥーン3の発売日 (2022年9月9日) が発表されてから、楽しみすぎて眠れない日々が続いております。皆さんは予約注文と前夜祭の予約を済まされましたか? 私は、前夜祭のお題をグーで出場するつもりです。見かけた際はお手柔らかにお願いします。
本日発売された技術評論社の WEB+DB PRESS Vol.130 に「作って学ぶWeb3 ブロックチェーン,スマートコントラクト,NFT」という特集を寄稿いたしました。貴重な機会をいただき、技術評論社の皆様には心からお礼申し上げます。
https://gihyo.jp/magazine/wdpress/archive/2022/vol130
この記事は、本特集の紹介と執筆の体験記というテーマでお送りいたします。
本特集にまつわる概略
WEB+DB PRESS について
WEB+DB PRESSは、技術評論社が偶数月24日に刊行している商業誌です。「Webアプリケーション開発のためのプログラミング技術情報誌」と銘打たれている通り、Webアプリケーションに関係する多種多様な内容が掲載されています。
Vol.130 では、本特集のWeb3の他にも、データモデリングや Flutter の特集などが載っています。
本特集「作って学ぶWeb3」について
本特集は、巷を賑わせているWeb3について、技術的な側面から解説しました。またWebアプリケーションからブロックチェーンとやりとりする方法についても紹介しています。
近年,「Web3」という言葉が注目を集めています。ただ,誇大広告ともとれる話や,暗号資産(仮想通貨)絡みの詐欺的な活動も横行していて,懐疑的な目で見ている方も少なくないと思います。本特集では,Web3の技術的な側面にフォーカスして解説します。どのようなことができるのか,そしてどのようなことができないのか,Web3という技術の,現在の等身大の姿を見ていきます。
全30ページの5部構成になっています。
章 | タイトル | サブタイトル |
---|---|---|
第1章 | Web3への第一歩 | 今日から始める新時代のWebサービス開発 |
第2章 | ブロックチェーンの世界に触れてみよう | 基礎知識,接続と送金,注意事項 |
第3章 | スマートコントラクトを書いてみよう | 記述言語「Solidity」とWeb IDE「Remix」でNFTを作る |
第4章 | ブロックチェーンアプリケーションを開発してみよう | RubyによるNFTの発行と閲覧 |
第5章 | ケーススタディ | 「Nouns DAO」から考えるWeb3の現在地 |
執筆は、弊社エンジニア6名で行いました。
- @antipop (取締役CTO, ペパボ3推進室室長, CTO室室長)
- @kurotaky (SUZURI事業部 シニアエンジニアリングリード)
- @june29 (minne事業部 シニアエンジニアリングリード)
- @akht (CTO室 鹿児島エンジニアリングチーム)
- @kurehajime (CTO室 鹿児島エンジニアリングチーム)
- @yoshikouki (CTO室 鹿児島エンジニアリングチーム)
※ 第4章で登場するNFTの画像はシニアデザイナー @shikakun (デザイン部 コーポレートデザインチーム) が作成しました。
なぜGMOペパボがWeb3の特集を寄稿したのか
GMOペパボは、今年3月7日に「ペパボ3推進室」を設置し、Web3の取り組みを進めています。
また、今年5月にはSUZURIでNFTコンテンツからアイテムを作成できる機能をリリースしました。この機能は、Webアプリケーション (Ruby on Rails アプリケーション) にブロックチェーンの情報を参照する機能を組み込むことで実現しています。本特集の第4章で扱っている内容を発展させたものです。
ー SUZURIでNFTコンテンツからアイテムを作成できるようにしたスリスリープロジェクトの話
その他にも、Web3関係のイベントに協賛・参加などを積極的に行っています。加えて、執筆者の中にはEthereum.orgへのコントリビュートやeth.rbのメンテナンスを行っているパートナーもいます。
- Web3 Conference Tokyo 2に参加してきました
- 『Web3 Conference Tokyo 2』に協賛します
- 『FGN Future Talks #2 もうちょっと知りたいWeb3〜うねりの最前から見えるトレンド〜』にパートナーが登壇します
- Ethereum.org のコントリビューター
- eth.rb のコントリビューター
このように、ブロックチェーン関連の取り組みを積極的に行っており、活動や開発を通じてブロックチェーンに対する知見もいくつか得ることができたため、我々の立場からWeb3を解説しようと思い至りました。
執筆の流れ
本特集が発売に至るまでの流れを振り返ります。執筆者6人の居住地が鹿児島と関東で離れていたこともあり、また感染症の流行状況もありましたので、全てのやりとりはオンラインとなりました。
企画を提出
今年の4月中旬、 @kurotaky がWEB+DB PRESS編集部へ企画案を持ち込みました。@kurotaky はWEB+DB PRESS Vol.92 「Web開発新人研修」でも執筆経験があり、その際お世話になった担当の方に声をかけました。「ペパボのみなさんは技術的に信頼しているのでWeb3でも特集を組めそう」とありがたいお言葉もいただきながら企画がスタートし、8月発売のVol.130への掲載を目指すことになりました。
同時期に執筆者を集める声かけも行っており、「ペパボ3推進室」で活動していたパートナー6名が集いました。弊社では「やっていき、のっていき」という文化が醸成しており、今回も声をかけられたその場から「よっしゃ最高の特集にするぞ!」とペパボ3推進室で盛り上がっていました。
執筆開始
5月中旬と同月下旬で、執筆者全員と技術評論社の担当者で打ち合わせを行い、企画の方向性、目次案、執筆上の注意事項などを確認しました。同時期に執筆者登録 (契約も含む) も済ませ、執筆が始まりました。
この時点で特集の全体像が固まっていたので、章別に執筆担当者を決めてそれぞれで執筆することにしました。
執筆
原稿は、GitHub のプライベートリポジトリで管理しました。原稿となるマークダウンファイルや画像ファイル、原稿で紹介したコード (動作検証済みのコード) など、特集に関係するもの全てが対象です。また、執筆者と技術評論社の担当者のタスクも GitHub Issue で管理しました。コミュニケーションツールは「Web3 といえば」という理由で Discord を採用し、リポジトリの更新を通知するように設定しました。
これによって、関係者が簡単に進捗やコメントなどを確認できるようになり、タスクの漏れがなくなったりコミュニケーションも効率化しました。その他にも、誰かが執筆作業を行ったログが流れてくると自分も書かないとという気持ちになったので、執筆進捗にも前向きな影響をもたらしたと感じています。
初稿の提出は7月上旬だったため、6月下旬まではそれぞれでPull Request (以下、PR) を作り担当箇所を執筆しました。それから執筆者同士でPRにコメントしあって推敲を行い、自分のPRにコメントされた箇所を確認・修正していきました。普段の開発と変わらない、いつもの体験です。
そして7月上旬、PRをmainブランチにマージすることで初稿を提出しました。
校正と出稿
初稿提出後は、技術評論社の担当者からフィードバックと校正をもらい (章別にPRを作成してもらいました)、執筆者はフィードバックの反映と分量調整を行いました。交互にPRを建てて改善を重ねていき、7月下旬に校了および出稿となって執筆作業は終わりました。
そして8月中旬に見本が届きました。普段読むだけだった雑誌に自分の名前や書いた文章が載っていると、「本当に寄稿したんだ」と感慨深い気持ちになりました。
終わりに
本特集では、注目度の高いWeb3というテーマを取り扱うため、内容だけでなく細部の表現まで注意深く正確性を検討しながら執筆しています。また、執筆者の @yoshikouki, @akht, @kurehajime は、はじめての商業誌の執筆ということもあって、とても貴重かつ緊張した経験でした。
本特集が、読者の方々にとって、Web3に対する理解を少しでも助ける内容になっており、願わくばその後の行動に繋がることを願ってやみません。Web3についてご興味のある方は、下記のリンクか書店にてお手にしていただけると幸いです。
https://gihyo.jp/magazine/wdpress/archive/2022/vol130
末筆になりますが、担当してくださった池田様をはじめとする技術評論社の皆様には、貴重な執筆の機会をいただきまして重ねてお礼申し上げます。