コーポレートエンジニアリング 技術部 CEG

コーポレートエンジニアリングの活動報告2021夏

コーポレートエンジニアリング 技術部 CEG

はじめに

こんにちは!@june29です。栃木県那須塩原市に引っ越してきてからまるまる3ヶ月が経過し、新しい生活にもすっかり慣れました。家の近所の田んぼや、自宅の外壁につくられたツバメの巣や、自宅内に出現したカエルや、そこらを歩いているダイサギやキジなどを眺めながら楽しく暮らしています。

さて、約3週間前に公開した採用目的2021 minne編という記事では、ソフトウェアエンジニアを主な想定読者としてminne事業部の様子を紹介しました。というわけで、現在わたしはminne事業部に所属しているのですが、その前は「技術部」に所属してコーポレートエンジニアリング領域のお仕事をしていました。この記事では、わたしが関わっていた2020年4月〜2021年5月あたりの約1年間のペパボのコーポレートエンジニアリングの取り組みを紹介させてください!せっかく1年間ほどお仕事していたので、異動後ではあるものの足跡を記録として残しておきたいですからね。

ペパボには、技術部の配下に「コーポレートエンジニアリンググループ」というセクションがあり、社内では略称である「CEG」で呼ばれています。以降、記事中においてもこの略称を用いることとします。

当時のCEG

わたしが関わるようになった2020年4月のCEGには片手の指で数えられるほどのメンバーしかおらず、ペパボで働く400人以上の活動を少人数で支えていました。ペパボのコーポレートエンジニアリングのお仕事は読者のみなさんがお勤めの会社とおそらく同様で、会社支給のパソコンのセットアップ、会社で利用している数十の情報システムの管理、各種アカウントの管理、種々のトラブルシューティング、社内のITヘルプデスクなどなど、多岐に渡ります。加えて、当時は全社的な在宅勤務体制への移行を進めていた時期でもあり、それに伴う情報システムの設定変更や、ペパボの各位が自宅で業務を進めようとしたときに発生するトラブルの相談に乗ったりと、縦横無尽の活躍っぷりでした。異動時にわたしが抱いた印象は「この人数で、よくこれだけの業務をまわせているなあ」というものでした。

そんな状況でしたので、当時のCEGの各メンバーは、各位の担当領域を広く持ち、かつ、タスクを高いパフォーマンスで処理することが求められていたと感じています。

ペパボの未来に向けて

少人数でたくさんの業務をこなさなければならない状況では、とにかく目の前のタスクを片付けることに強いフォーカスが働きがちでしょう。短期的にパフォーマンスを向上させるために能動的に「作業の属人化」を選択することもあったのではないかと思いますし、当時の状況を考えれば妥当な選択だったとも思います。ただ、中長期の観点で見ればデメリットもあります。

そこでわたしは、CEGにおける自分の当面のミッションを「個人のパフォーマンスの最大化から、チームとしてのパフォーマンスの最大化へ」とし、今後も事業規模・組織規模の拡大を目指していくペパボを支えるコーポレートエンジニアリングの体制を整えていくことにしました。

2021年のCEGのOKR

ペパボでは、各部署や各チームの目標管理に「OKR」を活用しています。

ここで、わたしも策定に大きく関わった2021年のCEGのOKRのうち、Objectiveを2つ紹介します。ペパボのコーポレートエンジニアリングが目指す少し先の未来像をよく表せていて、読者のみなさんと共有するのにちょうどいい内容ですので。

Objective 1 : ペパボのパートナー全員が安心安全にパフォーマンスを発揮できる環境を維持する

ペパボにはさまざまな人々がいて、それぞれの技能や個性を持ち寄って掛け合わせることで新たな価値を生み、それを社会に提供することで対価を得ている。インターネットとソフトウェア技術が事業の根幹にあり、パートナーひとりひとりがそれらを上手に活用することも期待されている。CEGでは、自走できる人には思い切り自走してもらうことと、サポートが必要な人には適切なサポートを届けることで、全員が安心・安全を感じられる状態で最高のパフォーマンスを発揮できる環境をつくり、それを維持する。

Objective 2 : ペパボの事業規模・組織規模の拡大をリードするシステムを実現する

今後、ペパボの活動がさらに広がっていくと想定したとき、そこに関わる人々を含む「広義のシステム」はより複雑さを増していくだろう。管理対象となるサービス、ソフトウェア、サーバ、設定、そして人間たちの種類と数が増えていくにあたり、管理コストも線形に増加していくようでは継続的な成長の足枷になってしまう。CEGは、自分たちの業務はもちろんのこと、バックオフィス業務に代表される「会社を維持するための活動」のすべてをエンジニアリングで下支えし、未来に向けてペパボが全速力で走れるようにシステムを整備し続ける。さらに、後追いではなく先回りでの整備を目指す。

CEGの活動紹介

続いて、具体的な活動内容をざっと紹介します。

ありがたいことに、2021年のスタート時点ではCEGのメンバーも10名近くになり、わたしが関わるようになった時期から見ると約2倍の規模になりました。さまざまなスキルやバックグラウンドを持ったメンバーが集まり、より幅広い活動に手が届くようになりました。

ペアプロ・ペアオペ・モブプロ・モブオペを強く推奨する

2020年にわたしを含む新メンバーを続々と迎え入れた結果、チームメンバーの「平均在籍日数」が一気に少なくなりました。そういった状況では「長く在籍している人にはわかるけれど加入したばかりのメンバーにはわからないこと」が数多く存在することになります。

新しいメンバーたちに業務のことをどんどん覚えてもらうために、特に2020年の終盤から2021年の春くらいまではどんな作業も2人以上で取り組むことを強く推奨しました。チームの人数が少なかったころは「各タスクは、ひとりでこなす」ことで短期的な効率を得ていたわけですが、チーム規模の拡大にあわせて中長期で見たときのチーム・パフォーマンスの重視する方針に切り替えたのです。

Notionでミーティングを構造化する

すでに詳細な紹介記事が公開されているのでこちらに任せます。

朝の会でテンプレートを活用している話 #Notionのある生活 - ペパボテックブログ

朝の会では「今日は◯◯の作業をやります。誰かいっしょにやりませんか?」といった会話を通じて、先述したペアオペ等の機会を生み出していました。

GitHubのリポジトリでグループ管理を構造化する

「Google Groups」や「SlackのUser Group」など、組織における情報システムの運用における「誰がどのグループに属しているか」の管理は、工夫のしがいのあるトピックです。ペパボのCEGでは今のところ、グループの情報をYAMLファイルに記述してそれをGitHubのリポジトリに配置して、Pull Requestによってグループメンバーを編集するスタイルをよく採用しています。

俗に「画面ぽちぽち」と呼ばれる管理画面のようなGUIによる操作では、対象となる情報システムごとに異なるインターフェイスを覚えることになりますし、管理対象が増えたときの管理コストが線形に増加しがちです。YAMLという行指向のフォーマットはソフトウェアによる自動化と相性がよく、たとえば「すべてのグループ定義ファイルから june29@pepabo.com の行を消す」といった操作を容易に行なえます。

この取り組みについては、別の記事でもあらためて紹介できたらいいな、と考えています。

Slack WorkflowでITサポートを構造化する

ペパボのSlackには社内ITヘルプデスクのようなチャンネルがひとつあり、パソコンや情報システムのことで相談があればCEGが窓口となって解決につなげる活動をしています。

かつては自由記述で相談内容を書いてもらっていましたが、Slack Workflow登場以降は積極的にこれを活用し、よくあるタイプの相談については専用のワークフローを用意することで「相談者が案内に従って情報を入力していくだけで、解決に必要な情報がすべて揃った状態でCEGに作業依頼が届けられる」という体験を実現しています。

この取り組みについても記事をひとつ書けるくらいのボリュームはありそうです。

ドキュメントで業務を構造化する

SlackやGitHubのように使い勝手のよいWeb APIが提供されているものであれば、プログラムによる自動化をノリノリで進めていきますが、利用しているすべての情報システムがプログマラブルなインターフェイスを備えているわけではありません。自動化がむずかしければ、最低限の期待として「これを読めば、CEGのメンバーであれば適切に作業を完遂できる」状態を目指してドキュメンテーションを推進しています。

社内のドキュメンテーションの取り組みと、Kitenのご紹介 - ペパボテックブログ

以前にテックブログで紹介した「Kiten」にも、CEGが用意したドキュメントをいくつも掲載しています。社内で繰り返し発生するような情報システム関連の困りごとで完全なる再発防止が困難なものは、便利なドキュメントを提供することで解決までのコストを小さくしています。

Kitenには「ペパボの全員」を対象とするドキュメントを載せる一方で、CEGの中だけで活用するドキュメント置き場として「Shikibu」というリポジトリもあります。CEGの定型業務の手順などをまとめて、いつでも閲覧できるようにしてあります。

社内マガジン「月刊CEG」を発行する

CEGで2020年のふりかえりを実施したときに「もっと気軽に相談してもらいたい」という話が挙がってきました。CEGはペパボで利用している情報システムの運用に精通していますので、日々の業務をこなす上で「こういったシーンでは、このシステムのこの機能をうまく使うと捗る」という知見をたくさん有しています。しかし、知見をどれだけたくさん持っていても、それを必要とする人々に届けられなければ活かしていけません。

なにか具体的に困りごとが発生したときにはすぐに相談してもらえている感触はありましたが「なんか、もっといい方法がある気がする…」「この方法がベストなのか…?」くらいの段階でいったん雑にでも話しかけてもらえるようになると、CEGの提供価値をもっと高められそうだと気付きました。

「もっと頼ってもらえるCEGになるために、どんなことをやっていこうか」と考えた結果、月次でCEGの取り組みを紹介する「月刊CEG」という社内マガジンを発行することにしました。日々のCEGの活動内容を紹介するのはもちろんのこと、「この部署からこんな相談を受けて、こんなふうに改善を実現しました」といった事例も取り上げるようにしています。

月刊 CEG Vol.01

また副作用として、CEGのみんなが毎月の自分たちのお仕事をふりかえるきっかけとしても機能しているようです。

さらには、月刊CEGに続く形で今では「月刊デザイン部」「月刊CRE」などの他の社内マガジンも定期的に発行されるようになり、部署をこえた相互理解のための大事な接点になっていると感じています。社内マガジン、おすすめです。

おわりに

2021年5月までペパボのコーポレートエンジニアリングの活動に関わっていた@june29が、最近のCEGの活動の一部を紹介しました。これまでずっと「事業部」に所属してお仕事してきたわたしにとって、技術部CEGのみなさんといっしょに過ごした日々は学びの多いものでした。わたしが自身のミッションとしていた「チームとしてのパフォーマンスを最大化する」に対して、いくらかよい実績を残せたと思います。

今はまた事業部に戻っていますが、技術部やCEGがどんなふうに日々を過ごしているかを理解できたことで、事業部の人間として以前より上手に連携を取れるようになった手応えがあります。社内の異動のよい事例となるべく、部署と部署をいい感じにつなぐような動きを繰り出していきたいです。

今後のCEGの活動は、現役のメンバーがこのテックブログ等で発信してくれるでしょう。毎月の「月刊CEG」の更新も、ひとりの読者として楽しみにしています。ペパボのコーポレートエンジニアリングは、これからどんどん進化していきます。

今回紹介させてもらったような活動に興味を持った「情シス」「社シス」方面の人がいましたら、ぜひお気軽にお声がけください!

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