CS室 Zendesk CustomerOps 業務効率化

CS室Customer Opsチームによる、Zendeskチケットフォームでの業務効率化

CS室 Zendesk CustomerOps 業務効率化

はじめに

こんにちは!GMOペパボ CS室 Customer Opsチームのたこまつ(@takomatsu)とやのけん(@yanokenty)です。 今回は、Zendeskのチケットフォーム機能を利用した業務効率化について紹介します。

GMOペパボでは、お客様からのお問い合わせ対応のプラットフォームとして『Zendesk』を全サービス共通で利用しています。 Zendeskには、任意の入力フォームを作成、公開する機能が用意されており、本機能を利用することで、プログラミングの知識がないCS(カスタマーサポート)担当者でも、お客様から情報をご提供いただくための入力フォームを用意することが可能です。

2021年に入り、Customer Opsチーム内で本機能を利用した入力フォームを2つ作成し、運用開始しましたので詳細を紹介していきます。

ケース1:ハンドメイドサイト minne における返金業務の改善

こちらは @yanokenty が解説します。

背景

ハンドメイド作品の売買ができる、C to Cプラットフォーム minne では、購入者様からの作品購入代金を一時的にminneがお預かりし、取引の完了後、minneより作家様に売上金の振込みを行う仕組みです。

作家様と購入者様とminneの関係

購入者様からの決済完了後、なんらかの事情によりその注文がキャンセルとなった場合、決済手段によってはお預かりした作品購入代金をminneから購入者様にお返しする「返金」業務が発生いたします。

返金業務では、返金先の口座情報をお問い合わせフォームからご提供いただき、minneのCS担当者が内容を確認した上、振込可能なデータ形式(全銀フォーマット)に整形したデータを、経理部門に提供する、という業務フローで作業を実施しておりますが、運用上2つの課題を抱えておりました。

こちらが、Zendeskの入力フォームに移行する前に使用していた入力フォームです。

Zendeskの入力フォームに移行する前に使用していた入力フォーム

▼課題1 お問い合わせフォーム上には、返金先の口座情報を自由記述形式で入力いただくフォームを設けていました。 その際に、必要な情報が揃わなかったり、誤った情報をお送りいただいてしまうことがありました。

▼課題2 ご提供いただいた情報の内容確認後、経理部門に提供する形式にデータを整形する作業を、CS担当者の手動作業で実施していたため、その対応工数が多くかかっていました。

Zendeskの入力フォームの導入

上記の課題を解決するため、Zendeskで作成した入力フォームがこちらです。 一部のレイアウト(CSS)を、弊社内のデザイナーに別途依頼し変更を加えましたが、ほぼZendeskの管理画面上の操作のみで出来上がったものになります。

Zendeskで作成した入力フォーム

▼課題1に対する対策 ひとつの入力フォーム内に自由記述するようなフォームから、各項目ごとに値を入力するフォームへと変更しています。また、各項目に対して、入力を必須とする、数字のみを受け付ける、といったバリデーション(入力チェック)機能も設定しています。

▼課題2に対する対策 経理部門に提供するデータを自動生成するよう設定しています。 お客様より、入力フォームから提供いただいた情報は、Zendesk上でお問い合わせ(チケット)化されます。 GMOペパボでは、ZendeskのデータをBigQueryへと同期する仕組みを採用しているため、Zendeskのチケット情報を整形して抽出するSQLを別途作成し、経理部門に提出するデータをすぐに用意できる仕組みを作成しました。

Zendesk、BigQuery、CSVファイル

※ZendeskのデータをBigQueruyへ取り込む仕組みを作成した話はこちら

結果

本入力フォームを導入することで、課題1、課題2、両方を改善することができました。 結果として、CS担当者の1日の返金業務の対応時間を約50分、月換算で25時間削減することができました。

ケース2:権利侵害に関する削除または情報開示依頼申請フォーム

ここからは takomatsu が解説します。

背景

弊社ではプロバイダ責任制限法に基づき、名誉毀損・プライバシー侵害・著作権侵害・商標権侵害等の権利侵害を理由としたサイト停止や記事削除などの依頼に対する対応を行っています。

これまでは、Googleフォームを用いた運用にて、申請者からの申し出を受け付けていました。

Googleフォーム運用の課題

Googleフォーム経由での運用は、大まかに次の4つのツールを利用して管理を行っています。

  1. 【Googleフォーム】申請受付
  2. 【Googleスプレッドシート】申請内容のリスト化
  3. 【GitHub Issue】申請内容の案件化
  4. 【Zendesk】申請者とのやり取り

ツールが増えれば増えるだけその管理、運用のコストは増大します。また、情報が分散されることでセキュリティのリスクも増加します。

以上のことから、本申請フォームの運用の刷新が必要と判断され、改善に向けて着手を行いました。

Zendesk問い合わせフォームの導入

代替案の検討の末、Zendeskの問い合わせフォームの利用が決まりました。決め手としては以下のポイントが挙げられます。

  • 申請の受付から案件管理、クロージングまですべてZendesk上で進められる
  • 申請フォームだけではなく、Zendesk Guideを用いることで、依頼受付用のページの利用ができる
  • pepaco.comのドメイン配下で申請受け付けフォームの発行ができる
  • ZendeskのデータはBigQueryと同期しているので、タスクの流量や工数の可視化が可能になる

実際の申請画面は次のような画面構成で設計しました。

フォームの画面構成

Zendesk側の開発で工夫した箇所:フォーム編

フォーム上で工夫した箇所は次のとおりです

  • チェックボックスの文字表現を「上記について、承諾しました」という言い回しに変更

本来は、チェックボックス形式の要素に文字は入っていませんが、上記画像の通りチェックすることに承諾の意思を取れるようにするため設けました。

  • 問い合わせの選択肢に応じて表示する設問の条件分岐の設定

Zendeskの問い合わせフォームの機能には、設問の条件に応じて表示する設問を出し分けする機能が用意されています。

この機能を用いることで、申請の種類が分岐した場合でも、今回の1つのフォームで管理・運用ができるようになりました。

入力内容による設問の出し分け

  • デフォルトで有効になっている「件名」と「問い合わせ(本文)」エリアは利用しないので非表示化しました

本来、件名と問い合わせ本文の項目はデフォルトで必須項目として存在しています。

しかしながら本ケースにおいては申請者からの申し出内容は、他の設問でヒアリング済みのため、余分な入力項目はコーディング上で直接非表示化する対応を実装しました。

  • 問い合わせ受付完了画面の作成

Zendesk問い合わせフォームでは問い合わせ受付完了画面が存在せず、問い合わせ後は問い合わせフォームのトップページに遷移する挙動です。

この場合、申請者が正しく申請できたかどうかを画面上で判断するには情報が不足しています。したがって以下のような問い合わせ受付画面を、問い合わせ完了画面に差し込む実装も行いました。

問い合わせ受付画面

Zendesk側の開発で工夫した箇所:オペレーション編

オペレーション面で工夫した点を紹介します。

  • ライトエージェントのパートナーでもチケットフィールドの変更ができるように設定しました

Zendeskの機能の1つに、「ライトエージェント」と呼ばれる機能があります。 これは、Zendeskで使える機能が制限される代わりに、低コストでZendeskのエージェントを発行できる仕組みです。

弊社では、この仕組を用いて顧客対応を行うパートナー以外も、必要に応じてZendeskにログインできる体制です。

しかし、このライトエージェントの権限ではチケットの閲覧と、チケット内のメモ(社内メモ)の更新はできますが、チケットフィールドの変更は本来できません。

※チケットフィールドとは、1チケットごとにステータスなどを管理できる機能で、案件の進行管理などの用途で用いられます。

そこで、Zendeskトリガのアクション機能を用いて代替案を検討しました。 例えば、特定のチケットに対してライトエージェントからの社内コメントの追記があった時、そこに特定のワードが含まれた時に発火するトリガを設置し、それに応じて該当するチケットのチケットフィールド変更を行うようにしました。

写真のケースの場合は、「対応状況:書類待ち」というコメントに反応して、対応状況のステータスを変更するアクションを定義しています。

Zendeskトリガのアクション機能

結果

本フォームに切り替えた結果、Zendesk上で完結できる仕組みに切り替わったことで、情報の分散を抑え、セキュリティリスクを低減した設計に切り替えられたのみならず、1事案あたり10分以上の工数削減にも寄与できました。

謝辞

本フォームのリリースは、関係する部門が多く、4部門6名のパートナーで設計・構築を進めていきました。

上記で解説した「工夫した箇所」のほとんどは、私一人の力では到底でき得るものではありませんでした。この場を借りて改めて一緒に開発を進めてくれたパートナーに感謝します。

そして、改めてGMOペパボ内の層の厚さや、柔軟に動いてくれる環境に感謝したいと思えるプロジェクトでした。

おわりに

今回は2021年第1四半期に行った、Zendeskの問い合わせフォームの開発事例についてお話しさせていただきました。

GMOペパボのCS室では、日々のお問い合わせ対応はもちろんのこと、様々な接点でお客様と関わらせていただいており、その業務内容は多岐にわたります。

Customer Opsチームでは、そんなCS業務を効率化・自動化できるよう様々なツールやサービスを用いて改善を行っており、 今後も、CS室パートナーの生産性の向上、さらには顧客体験の向上に寄与する取り組みを、続けてまいります。