Ruby OSS Conference

Paris.rb Conf 2018 に登壇しました

Ruby OSS Conference

執行役員 CPO (Chief Productivity Officer) 兼技術部長の @hsbt です。

2018年6月28-29日にフランスのパリにて Ruby の地域コミュニティ Paris.rb の主催による技術カンファレンス Paris.rb Conf 2018 が開催され、私 @hsbt が「RubyGems 3 & 4」というタイトルで発表しました。カンファレンス当日までの流れや発表内容についてご紹介します。

CFP への応募と発表の準備

Paris.rb Conf 2018 は世界中の Ruby のカンファレンスを掲載している Ruby Conferences を眺めていた時に、ふとパリで Ruby のカンファレンスが開催される、ということを知り CFP に RubyKaigi 2018 で発表する予定の内容の英語バージョンを応募しました。

1月に CFP を応募し、Proposal の採択の結果がなかなか来ない、と待っていたところ、2月のある日にカンファレンスの公式サイトに自分の名前と画像がスピーカーとして掲載されていることを見つけ、主催者にメールで改めて確認したところ無事採択されていることがわかり、渡仏と発表の準備を始めることにしました。

実際には RubyKaigi 2018 で発表した同名のタイトルの「RubyGems 3 & 4」と同じ内容ですが、日本語で発表した内容を海外のカンファレンスで発表するときは以下の 2 点に注意してスライドや発表者ノートを調整します。

  • 母国語である日本語だから伝えることができる言い回しをシンプルにして英語で伝える
  • RubyKaigi に参加する層だから知っている背景をどこまで省略して、どこまでを省略しないで解説するかを見直して加筆する

発表時間の分量にもよりますが、おおよそ 3 日くらいで初稿を作成し、Grammarly という英語の校正サービスに通した後に、過剰な受動態や前置詞の抜けなどを補って一週間くらいの時間をかけて発表者ノートは完成させます。

フランスへは羽田空港初のシャルル・ド・ゴール空港着の直行便を選び、宿はヨーロッパを中心に展開しているアパートタイプのホテルのシタディーンを選びました。Paris.rb Conf 2018 の会場はパリ市内から南に離れたエンジニアスクールで開催されるので、カンファレンス会場へ地下鉄で一本で移動することができるホテルを選びました。

カンファレンスの風景と雰囲気

では、カンファレンスの会場を紹介します。会場は先にも紹介した通りパリの南にある Efrei Paris というエンジニアスクールです。Efrei Paris へは地下鉄の7番線に乗って、終着点の Villejuif で下車した後に徒歩で移動します。

この Efrei Paris に限らず、フランスの 6-7 月は 1 ヶ月雨が降らずに晴天が続くという外で過ごす人が多い季節になっているらしく、上の写真のように外の芝生の上にテントや食事のスペースを用意して、日光浴を楽しんだり昼寝をしている人をよく見かけました。写真には写っていませんが、カンファレンスの最中もフランスパンを食べながら芝生に座っておしゃべりをしている人がたくさんいました。

参加者は全員で 200 人ほどだったらしく、写真のように大ホールがだいたい埋まるという規模での開催でした。会場は WiFi 環境は十分な速度が出て便利だった一方で、電源を確保する手段がなく、発表準備や紹介するコードやデモの動作確認は余裕を持ってできる、という環境ではありませんでした。実際の授業の時はどのように電源を確保しているのが気になりますが、大ホールだけだれもが使える電源がなかったのかもしれません。

発表した内容の紹介

@hsbt の発表は二日目の午前中でした。私が公開した発表スライドと主催者が公開した発表の動画を以下に掲載します。

RubyKaigi 2018 で発表した内容と大筋は同じ内容です。以下に内容を列挙します。

  • RubyGems 2.x シリーズのメンテナンスポリシーと Ruby 本体へのマージ方針の紹介
  • RubyGems 3.0 のリリース方針として、機能の非互換は入れないで、サポートする対象となる Ruby のバージョンを 2.2 以上としたことと、対象バージョンの限定に伴って消した古いコードの例と消す時の手順やテクニックの紹介
  • RubyGems 4.0 のリリース計画と、現在検討している非互換を伴う変更、例えば --user-install オプションをデフォルト設定にしてユーザーのホームディレクトリ配下に Gem をインストールすることを標準とするというような変更等について紹介

RubyGems の開発計画の紹介自体よりも、RubyGems 3.0 の開発の際に akr/all-rubyakr/gem-codesearch を用いて、現存しているソースコードからビルド可能な Ruby インタプリタすべてを用いて挙動を確認したり、リリースされているすべての Gem を検索して、RubyGems の変更による影響が発生しないか、ということを確認する手段に対する反応が多かったように思います。

まとめ

Paris.rb Conf 2018 では、Windows における Ruby の普及を牽引した RubyInstaller の作者である luislavena が現在取り組んでいるプロジェクトについて発表したり、 RailsConf や RubyConf で発表されたトークなどを同じ場で見ることができたりと、Ruby で作られているプロダクトやライブラリについて技術的なトピックを中心に見ることができ、参加した満足感は高かったです。物足りなかった点としては、フランス地元のプログラマによる発表が少なかったことですが、次回の開催時に期待しています。

以上、Paris.rb Conf 2018 への参加について紹介しました。今回のカンファレンス参加は、旅費、宿泊費、その他経費は勤務先である GMO ペパボによる支援で参加しました。同僚の皆さんには深く感謝しています。