こんにちはこんにちは!「SUZURI People」のプロダクトオーナー、 @jitsuzon です。
今日は、ペパボにおけるプロダクトオーナーの専門性を、社内の職位制度をきっかけに整理したので、内容をシェアします。現役プロダクトオーナー/プロダクトマネージャーや、これからキャリアパスとして検討しているかたのご参考になればと思います。
目次はこちら!
ペパボの「等級」について
まえおきです!僕はこの7月からプロダクトオーナーという肩書で仕事をしています。それまではディレクターという肩書でした。ペパボには「等級」という職能をランク分けしたものがあり、それにより給与などが決定されます。1~8等級が存在し以下の図のようになっています。
エンジニアとデザイナーにはそれぞれ評価制度が存在しています。 エンジニア評価制度についてくわしくは以下エントリをご参照ください。
ペパボのエンジニア文化を醸成するエンジニア評価制度 - ペパボテックブログ
ディレクターは総合職に該当し、カスタマーサービスや人事なども総合職に含まれます。僕は今回3等級から4等級になりました。「ビジネスプロフェショナル」という名前の等級で、プロダクトオーナーだけでなく編集者や人事などもおり、それぞれが持つ専門性に応じた肩書を名乗れます。
この総合職の3→4等級への昇格は、上長による推薦ののち、経営会議にて決定されます(エンジニアとデザイナーは一部異なります)。その判断のための根拠資料として、ペパボにおけるプロダクトオーナーの専門性を整理しました。つまり、 4等級のプロダクトオーナーならばこういうことが求められますよね、僕の実績はそれに合わせるとこれです、要件を満たしていると言えます 、という論拠を示すものです。
「プロダクトオーナー」の専門性
実際に僕が提出したものを、ほぼまるっと転載します。
1. 専門性の概要
私が持つ専門性は「プロダクトマネジメント」です。プロダクトマネジメントは「正しい製品をつくり価値を届ける」ことを目的とし、 ビジネスサイドとプロダクトサイドの間でまとめることが多い職能です。その広い目的のために、組織やプロダクト、個人のスキルによって、仕事内容は異なってきます。
2. 該当の専門性において4等級として満たすべき要件
まず、ペパボの4等級として求められることは等級定義イメージの「部門での担当業務を独力で完遂できており、部門内外の専門領域における問題を的確に捉え、解決することができ、事業成長または組織成長に寄与できる」です。 他にもペパボの理念である「もっとおもしろくできる」や「大切にしてほしい3つのこと」が要件の前提として語られるべきと思います。
上記の前提と、専門性を関連付けて私が考える4等級として満たすべき要件は以下です。
- 正しいものをつくることができる
- チームで問題を解決できる
- 影響を広げることができる
2-1. 正しいものをつくることができる
プロダクトそれ自体や機能において、プロダクトオーナーには「正しくものをつくる」ではなく「正しいものをつくる」ということが求められます。
単に製品を世に出しても、使ってくれる人がいて何かしらの課題を解決できないと存在する価値がありません。
まして、ビジネス的な価値は得られないでしょう。プロダクトマネジメントは、顧客の課題を解決しさらにビジネス的に成功することを目指し、ユーザー調査や分析などを通じてそれを実現します。
前述の内容と交差させると、「もっとおもしろくできる」に通じる顧客の重要なインサイトを発見してプロダクトに反映し、「ファンを増やす」ことができる熱狂を生むプロダクトをつくれる人がペパボとして立派なプロダクトオーナーと言えると思います。
4等級では、具体的には以下ができているとよいと考えます。
- プロダクトのビジョンと計画を描いている
- 真の課題を適切な方法で発見している
- 実現可能で効果の見込める解決策を導いている
2-2. チームで問題を解決できる
ペパボはチームで開発をしています。スケーリングしやすいだけでなく、異なる人々が関わることによるシナジー効果があり、意志をプロダクトに反映させやすい状況です。 私もチーム開発により素晴らしいプロダクトが実現されることを信じています。 プロダクトマネジメントの役割を担う人には、「みんなと仲良くすること」でチームの生産性を向上させ、継続的に顧客に価値を届けるようにすることが求められます。 また、「みんな」はサービスに直接関わるパートナーにとどまらず、経営層や法務や経理、取引先など多様なステークホルダーもプロダクトを成立させる上で「仲良くする」必要があります。
4等級では、具体的には以下ができているとよいと考えます。
- チームの状態に応じたチームビルディング
- チームの生産性向上へのアクション
- 各ステークホルダーへの適切なコミュニケーション
2-3. 影響を広げることができる
「影響」は3種類あります。チーム内、チーム外、ユーザーです。優れたプロダクトマネージャーは、プロダクトの未来を描きわくわくさせるようにチームに「アウトプット」します。 また、担当のプロダクトだけでなく全社や業界に向けて良いプロダクトのつくりかたや熱量をアウトプットし、人を支援・鼓舞します。 プロダクトの魅力は最終的にはユーザーに届くべきです。 ペパボではマーケティングは各サービスのチーム内で担うことが現状多いので、プロダクトマネージャーにもマーケティングの視点が求められます。最終的にプロダクトの「ファンを増やす」ことが大事です。
4等級では、具体的には以下ができているとよいと考えます。
- チームをゴールへ導くビジョンを共有している
- 知見をチーム内外に共有している
- プロダクトの価値をユーザーに適切な方法で届けられている
以上です。前述の通り、組織やプロダクト、個人のバックグラウンドなどによって濃淡がありますが、上記のことを認識・完遂できていると4等級として相当だと考えています。
プロダクトの開発工程に当てはめて整理したのがこちらの図です。
このように、人事が定めた等級イメージと企業理念や文化との整合性を確保しつつ、具体的な要件に落としました。プロダクトマネジメントはプロダクトや組織によって必要な立ち回りが変わってくるので、単に外の定義を持ち込むのではなく、ペパボにフィットすることを心がけました。
専門性を発揮したお仕事の例
これも資料に記載したものの中から、いくつかを編集して記載します。実際はGitHubのイシューをリンクさせたり実績値を書くなど、もう少し詳細に記載しています。
「正しいものをつくることができる」の例
所属したチームをユーザーファーストかつデータドリブンにするプロデュースをおこない、その立案から実行をしました。下記の図を参考に説明しています。
(出典:顧客体験をデータで改善する U-NEXTの取り組み - Speaker Deck)
以下の箇条書きも資料に書いたものからの抜粋です。
- ユーザーインタビューでは単に定性的な調査をするだけでなく、サイトのコンテンツとして資産にしたり、開発メンバーを同行させモチベーションアップもおこなうなど一石三鳥以上を意識して取り組んでいました。
- ユーザー観察として、ユーザーテストを導入し多くの施策を生んでいます。ユーザーの発言にそのまま対応するのではなくしっかりと洞察して施策に落とし込んでいます。
- ユーザへの定量調査としてアンケートを導入し、今ではサービス内各所でおこなわれています。
- ログの関係では数値を自動的に集計し把握できるよう基盤を整え、施策の意思決定材料としました。
他にもマーケ戦略の策定などもやっているのでそちらを記載したりしました。
「チームで問題を解決できる」の例
チームの健康診断ができるようにした下記エントリのことなどを書きました。
あとはチームの段階に合わせたチームビルディングについて記載したり。
「影響を広げることができる」の例
チームにプロダクトマネジメントやっていく宣言をしたり、社外で発表したり、noteに書いたりと、アウトプットはちょいちょいしていましたのでそれを書きました。
- 2016年8月8日、僕はお気持ちを表明した。 - Speaker Deck
- サービスにおける2つの成長〜「モメンタム」と「バーン」〜 - Speaker Deck
- 新サービスに「つかわれる」名前をつける|じつぞん|note
さいごに
以上が、ペパボのプロダクトオーナーとしての専門性を定義しアピールした話でした。
それぞれの組織やプロダクトに応じて求められる役割やスキルは変わってくるかと思いますので、これが1つの事例としてどなたかのご参考になれば嬉しいです。
ではみなさま、良きプロダクトを!