デザイン イベントレポート

デザイナーってなにしてるの? Designer's MTG #1 レポート!

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ペパボテックブログをご覧のみなさま、こんにちは。デザイナーです。

突然ですが、GMOペパボ株式会社は事業の規模の拡大にともなって、ついに 30 人を超えるデザイナーが在籍する組織になりました!やったね!

しかし、人が増えるということは、知らない人が増えるということでもあります。新しく入社された方はもちろん、そういえば隣の部署のデザイナーともずいぶん話してないかも。みんな、なにしてるんだろう…?

そんなわけで、このたびデザイナーが集まって自分の仕事について発表するという、社外秘もインサイダー情報もなんでもありのイベントを、会社の休憩スペースで開催しました。テーマは、ずばり「失敗事例・成功事例」。取り組んだ事例を共有することで認知を広げ、デザイナーどうしのコミュニケーションを促す試みです。

この記事では、そんな記念すべき初回の Designer's MTG #1 の模様をお届けします!

まずは、ホームページが簡単につくれるサービスこと グーペ のデザイナー、みずゑさんによる発表からスタート。

グーペでは、 KPI ごとに 3 〜 4 人の少人数のチームに分かれているそうです。チームには KPI に責任を持つかわりに施策をすすめる裁量が与えられているので、誰かに与えられたタスクをこなすのではなく、自分で考えた仕事をやる「自走式組織」となり、実行するスピードも速くなったとのこと。このようになった経緯は、マネージャーの @sorahoderi さんのブログにも記事がありましたね!
:point_right:少人数のチームなので全員同じKPI担当にしたらサービスも組織も成長した話 | yusukehiruta.com

一方で、ユーザビリティテストで判明したユーザーの要望をそのまま行ったところ、かえって数値が悪くなってしまった… という失敗談も。このとき、みずゑさんは、ごはんを食べるのを嫌がる子どもの話を思い出したそうです。

どうすればごはんを食べてくれるでしょうか。たとえばふりかけをかけてあげるとか、パン派にしてしまうとか…。しかし、実はごはんの味が嫌いなのではなく、楽しい見た目のおにぎりをいくつか用意して好きなものを選べるようにすると、よろこんで食べてくれるようになったとのこと。ユーザーの行動の奥にある本質的な課題を見つけるべきだ、と思ったそうです。

自分に裁量があればモチベーションを高く保てるのは、仕事も子どもも同じですね。

つづきまして、最近入社された「カラーミーの新しい奴」こと、ネットショップ運営サービス カラーミーショップ のデザイナー @teeeeeeoo さんによる発表は、陽気な鼻歌からはじまって会場がすこし変な空気になりました。

@teeeeeeoo さんが携わっているのは、新しい EC 支援の… おっと、ここまでしか書けませんが、リリース前でも気にせず話せるのが社内限定イベントのいいところ。

Adobe XD だけでデザインしたり、チームメンバーへ Google フォームを使ったデザイン案の人気投票をしてブラッシュアップを重ねたプロセスは、とても興味深かったです。また、先日 ペパボテックカンファレンス もあって社内の熱が高い Vue.js を利用したり、 Atomic Design を導入して… といった、フロントエンドの面でも新しい試みに取り組まれていました。リリースがまちどおしいなあ。

ドメイン取得でおなじみの ムームードメイン は、福岡支社で運営されています。勉強大好きなくせにハンドルネームが自虐的な福岡の変態こと @bennkyougirai さんには、中継で発表していただきました。

ムームードメインでは、複数のドメインの契約をいっぺんに進められる ショッピングカート機能 をリリースしました。ドメインをカゴに入れるなんて、革命的な概念ですね。とっても便利なこの機能は、既存の PHP で書かれたアプリケーションとは分けて Rails で開発されたそうです。

そこで、 @bennkyougirai さんは開発の初期段階から Fractal を利用したスタイルガイドを導入しました。デザイナーは UI コンポーネントをスタイルガイドの上で定義して、マークアップとスタイルシートのコーディング作業もスタイルガイドで完結させてしまい、エンジニアはスタイルガイドをもとに実装を進めたそうです。作業のスコープが明確になることでレビューしやすくなり、コンフリクトもしない。なんて革命的な挑戦なのでしょうか。

こちらの発表の資料は公開されていますので、ぜひご覧ください!
:point_right:開発初期からはじめるスタイルガイド // Speaker Deck

先日発足したデザイン戦略チームの @sizucca_ さんからは、「デザインスプリント」の意義と効果、また最近の社内での取り組みを発表していただきました。

いくらリーンに機能を最小単位でリリースするといっても、開発して動作しないと検証できない。そもそもこの機能がほんとうに問題を解決できるのか、できれば実装に入る前に検証したいですよね…。そこで、デザインスプリントです。デザインスプリントは、アイデアをすばやく試すことで、すばやく失敗してエラーを見つけるためのフレームワークなのです。

@sizucca_ さんいわく、デザインスプリントが向いていないのは、もうすでにやることが明確に決まっているプロダクト。逆にいえば、そのほかのすべてのプロダクトでデザインスプリントは有効とのこと。いくつかのサービスで実際にデザインスプリントを取り入れてみてわかったことや効果は、ここでは内緒です。知りたかったら入社してね!

最後に、手作りの作品の販売と購入が楽しめるハンドメイドマーケット minne@naomeme さんから、先日発表した minne の新しいロゴとタグライン を外部のクリエーターといっしょに作りだしていくなかで、自分とサービスの新しい距離を見つけた話がありました。

minne のリブランディングに関する詳しい話は、また改めて記事として公開を予定しているとのこと。たのしみだなあ。

それぞれの発表のあとの質疑応答では、福岡支社との中継の技術的な問題もあって、質問する人も回答する人も中央のマイクに集まって話すのが、なんだかおかしかったです。でも、結果的にこれはとてもよいデザインだったように思います。誰もが参加できるこの場所には、血が通っているようにみえました。話す人と聞く人の関係性しかないような貧しい場所は、やがて死んでしまうでしょう。

生きるとは、どういうことなのでしょうか?

生きることは、それぞれの物語を生きること。わたしたちは誰とも入れ替わることができないように、物語はほかのどの物語とも交わらず、それぞれが直線のタイムラインです。この世界は、わかりあえない、ほんとうに伝わることなんてありえない、さみしい世界です。

デザイナーは、サービスを利用していただいているユーザーのみなさんへ、メッセージを伝える仕事をしています。それは言い換えれば、メッセージが正しく伝わるようにする、そのために最善を尽くすのがデザイナーの仕事です。こうやってひとつの場所にみんなで集まって、それぞれの物語を、誰かへ伝わるようにがんばって話すこと。そんなささやかでまっとうな営みが、会社のすみっこで静かに行われていることに、ちょっと泣きそうになりました。

窓の外を見ると、渋谷はどしゃぶりの雨。みなさんは、どんな物語を生きていますか?

以上、 Designer's MTG #1 の模様を @shikakun がお届けしました。それではまた次回、会社の休憩スペースでお会いしましょう!