技術部データ基盤チームの zaimy です。
2025年7月11日に開催されたData & Analytics 井戸端会議 #03 「データアナリストから見たデータ基盤」に登壇しました。
「井戸端会議」という名前の通り、発表者と参加者の議論を通じてデータ基盤に関わる知見を共有し合うイベントで、30名の定員に対して44名の申し込みがあるなど、多くの関心を集めるイベントとなりました。
イベントについて
Data & Analytics 井戸端会議は、データエンジニア、MLエンジニア、データアナリスト、アナリティクスエンジニアなど、データ基盤に関わる職種の方々が集まるイベントです。
今回のテーマは「データアナリストから見たデータ基盤」でした。LINEヤフー、メルカリ、GMOペパボに所属する3名によるライトニングトークが行われ、発表後の「Ask the Speaker」セッションや懇親会を通じて、参加者同士の活発な交流が行われました。
『ビジネス職が分析も担う事業部制組織でのデータ活用の仕組みづくり』
私からは「ビジネス職が分析も担う事業部制組織でのデータ活用の仕組みづくり」というタイトルで発表しました。
発表の背景
ペパボでは、従来の「データプラットフォーム」としてのデータ基盤から「データプラットフォームサービス」への転換を図り、事業部制組織におけるデータ活用の課題に取り組んできました。特に、ビジネス部門が深いドメイン知識を持ちながらもデータ分析に集中できていないという課題や、データ利用者のデータに対するオーナーシップや継続活用の問題に直面していました。
具体的な取り組み
発表では、以下の取り組みについて詳しくお話ししました。
1. Team Topologies の導入
- チームタイプとインタラクションモードの明確化
2. ELT(Extract, Load, Transform)モデルをベースにした責任境界の明確化
- データエンジニアリングチームとビジネスチーム間の役割分担
- 各チームが得意領域に集中できる体制の構築
3. データの Transform 層のフレームワーク化
- ビジネスチームが扱いやすいデータ変換ツールの整備
- セルフサービス分析の推進
4. ビジネス職の基盤チーム加入によるサポート強化
- ビジネス観点とテクノロジー観点の融合
- 意思決定プロセスの効率化
取り組みの成果
これらの取り組みを通じて、以下のような成果を得られつつあります。
- 集計作業中心のデータ利用から体系的な仮説検証への移行
- データ基盤チームとビジネスチームの連携強化
- 組織全体でのデータリテラシー向上
発表の最後には「『人』と『仕組み』の両輪が大事」というメッセージをお伝えしました。技術的な基盤整備だけでなく、組織やプロセスの改善も同様に重要であり、この両方がバランス良く機能することでデータ活用が組織に根付くと考えています。
発表後の議論
「Ask the Speaker」セッションでは、参加者の皆さんから様々な質問をいただきました。特に、Team Topologiesの実際の導入プロセスや、ビジネス職とデータエンジニアの協働における具体的な工夫について多くの質問をいただき、各社の取り組みについてより深く議論することができました。
また、懇親会でも、データ基盤の組織論やデータ活用について議論が交わされ、参加者同士の貴重な知見交換の場となりました。
今後の展望
今回のイベントを通じて、データ基盤やデータ活用における組織的な課題への取り組みについて、多くの企業での共通点と学びを発見することができました。
2024年はTeam Topologiesのような組織論がデータ基盤分野でも本格的に注目され、2025年はAIエージェントとの協働が現実のものとなる転換点です。この激動の時期に、技術の進歩と組織の成熟を両輪として進めていくことがますます重要になってくると思います。
Data & Analytics 井戸端会議のような、率直な対話を通じて知見を共有し合える場は、データ基盤に関わる私たちにとって非常に貴重なものと感じました。これからも継続的にこのようなイベントに参加して、他社の事例から学びつつ、自社の取り組みも積極的に発信していきたいと思います。
運営していただいた皆様、参加者の皆様、ありがとうございました!