こんにちは!ペパボ研究所 研究員のわたさん @ae14watanabe です。
世の中ではAIが昨年から盛り上がっていますね!1
ペパボも例外ではありません。
ペパボのSlackには、機械学習やAIに関してみんなで雑談するチャンネル ai_waiwai
があり、大盛り上がりしています。
私はこの社内のSlackチャンネルで「日刊AIニュース」という取り組みを約4カ月ほど毎日行っています。 その名の通り、毎日AI・機械学習の新しいトピックについて、概要の紹介と簡単な解説を行っています。 今回はこの取り組みについてご紹介します。
なぜやっているのか?
ペパボでは、ミッションである「人類のアウトプットを増やす」ために、昨年から各サービスへのAI導入を積極的に行い、ユーザの皆さんのアウトプットを促進する機能開発を進めています。 今年はこの取り組みをさらに進めつつ、AIが日常的に利用される社会の動きに合わせて、AIで未来を創る新しいサービスを展開しようとしています2。 この挑戦のためには、ペパボのパートナーたちが、進化し続けるAI技術の最先端で何ができるのか理解し、それを既存サービスにどう活かすか、また新サービスの創出にどう繋げられるかを理解する必要があります。
この理解を深めるのに、私が専門知識を活かして貢献できるのではないかと考え、今回の取り組みに至りました。 私は、機械学習の中で生成モデルと呼ばれる領域の研究で博士号を取得しておリ、この専門知識を活用して、先端のAI技術の解説やペパボのサービスにおける応用方法をできる限りわかりやすく伝達しています。 例えば、最新の画像生成モデルを紹介する際、ユーザーがどうこれを活用できるか、またこの技術がどんな課題をどう解決しようとしているかなど、簡潔に解説しています。
ちなみに、ペパボ研究所には私も含めて、機械学習などの適応的な情報システム技術に深い専門知識を持つ研究員が在籍しています。このような専門性があるパートナーが情報発信することは、企業が独自の研究所を持つ価値の1つだと考えています。
どうやっているのか?
大まかには、毎日以下の手順で情報共有しています。
1. 紹介するトピックの選択
毎朝、複数の情報ソースで、新しいトピックをチェックし紹介するものを選びます。 ソースの例としては Daily PapersやAI Newsなど、研究速報的なソースとサービス導入事例や解説記事を扱うソースを確認しています。 選ぶ観点として主に次の3つを意識しています。
- ペパボのサービスへの導入例が出せるか
- 実際に試すことができるか
- 既に利用している技術について、利用する側として知っておくべき情報か
特にペパボのサービスへの導入例を挙げることは、社内ニュースならではの魅力だと思うので重要視しています。
2. 紹介トピックの深掘り
実装やデモが公開されている機械学習モデルであれば実際に試してみたり、論文を読んでみて内部的な詳細を把握したりして、トピックを深掘りします。 機械学習の研究だと、Hugging Faceというプラットフォームでデモや学習済みのモデルがしばしば公開されているので、ペパボのサービスでよく利用されるようなデータを実際に適用し、期待される結果が得られるか確認しています。
3. 要点をまとめてSlackで発信
社内のAI関連の雑談Slackチャンネル #ai_waiwai
で紹介します。
「何ができるものか」「サービスとどう関連するか」「動作例・わかりやすい図」の3点を必ず入れるようにして、400文字程度でまとめます。
たとえば、先日Googleがモバイル上で動く画像生成モデルを公開していましたが、これについては以下のように紹介しました。
やってみてどうか?
この「日刊AIニュース」の取り組みを約4カ月間(2024年2月27日現在、80営業日連続で)続けてきましたが、社内からは予想以上のポジティブな反応が得られています。 たとえば、ほぼ必ずemojiによるリアクションがつきますし、紹介したAI技術に関してパートナー同士でディスカッションし、サービスへの導入可能性について掘り下げた話をすることもあります。 中には、紹介したデモを実際に試してくれるパートナーもおり、その結果がフィードバックされることで、さらに話題が広がっています。 このような反応を得るたびに、ペパボの「のっていき文化」がいきいきとしていることを実感し、パートナーが一丸となって新しい技術を受け入れていると感じます。
今後もこの取り組みを通じて、パートナーのAIに対する技術的な好奇心を刺激し、AI技術への理解を促進することで、ペパボの既存サービス改善や新規サービスの展開に貢献したいと考えています。
最後に
この「日刊AIニュース」という取り組みは、他のパートナーからやってみたら?と提案を受けたことをキッカケに始めました。 機械学習の知識はあるものの、社内でどうAIを盛り上げられるか模索していた自分にとって、この活動は新たなアプローチとなりました。 もし同じようにAI技術を社内で共有し、盛り上げていきたいと考えている方がいれば、この試みが何かのヒントになれば幸いです。
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詳しくは 2023年12月期決算説明資料のp.35,36をご覧ください。 ↩