こんにちは、minne Customer Reliability Engineering(CRE)チームのWebエンジニア hikari とデザイナーの mizuena です。
この記事はCREチームによるブログリレー第2弾です。
ブログリレーではペパボ各事業部のCREチームが取り組んでいることや注目のトピックなどについてアウトプットすることを通じて、同業種であるエンジニア・デザイナーに向けて顧客信頼性向上を広く伝えていきたいと考えています。
今回は2022年11月の第11回Customer系エンジニア座談会で発表した、minneのCREチームの取り組みをご紹介します。
minneCREチーム発足の経緯などは、「minne CREを紹介します」の記事をご覧ください。
チーム指標に対する顧客信頼性向上の取り組み
ペパボのCRE&CSが語る、ユーザーが安心して気持ちよく使えるサービスの裏側。Pepabo Tech Conference #17 開催レポートでも触れていますが「minneの顧客信頼性の向上」がチームの目的であり、その顧客信頼性を評価するための指標(判断基準)として顧客努力の軽減が最適だと考えました。
顧客努力は具体的には以下の3つで測ることができるとしました。
- 退会数
- 目的達成コスト
- 自己解決コスト
資料中の「目的達成コスト(ユーザーが特定の目的を達成するまでの障壁)を減らす」について補足すると、こちらは継続して見る特定の数値はありません。
というのは Site Reliabirity Engineering の考え方でいうSLO(Service Level Objective)のように、サーバーの稼働率やパフォーマンスの目標値といった「ユーザーに対して実際にサービス提供できている、その根拠である目標値を定めることが可能だけれど、CREではそういった定点観測できる目標値を定めることが難しかったという背景がありました。そのため、各施策を考えた時課題に対しての改善目標数値というのを決めて、それにむけて改善と効果測定をしているということをお話しました。
発表では上記の退会数・目的達成コストの改善事例を紹介し、その後チーム指標「顧客努力の軽減」に対し、それにフォーカスした退会数、目的達成コスト、自己解決コストという3つの指標は適切だったのかというのを振り返りました。
退会数に関しては、ユーザーの離脱に繋がる事態が発生していることがわかる手がかりとしてはいいのですが、次に繋げられる数値ではなくminneを選ばなくなった結果であり、アクションからプラスの成果を結びつけることはできなかったという反省点があります。が退会数ではなく問い合わせしてきたユーザーのその後の継続率を見ることで「使うのをやめてしまう理由を潰すのではなく、使い続ける理由を作っていく」改善をしようと考えるきっかけになりました。
目的達成コストに関しては「目的を達成するまでの障壁を減らす」でアクションと期待する数値を決めたのは良い方針だったと考えています。課題があっても解決することでtoCのサービスで見込める効果はなにか、カスタマーサポートのコストだけではなくユーザにどう影響が及ぶのかを考えて改善数値を決めることは難しいですが、指標を決め運用してみたからこそこういう見直しをしている、というお話が今回できて良かったです。
顧客信頼性向上のためのデザイン
minneのCREチームは発足当初の1名から現在は4名体制へ、職種もエンジニア+デザイナーと多様化し、より広い視点・領域で顧客信頼性の向上に取り組めるようになりました。
一方で、自社を含めた他組織のCREチームの人員構成を見てみると、我々のようにデザイナーが所属している組織は珍しいように感じます。
そこで今後のCRE活動やチーム作りに役立てればと思い、顧客信頼性向上におけるデザインの役割は何か考えてみました。
顧客信頼性向上におけるデザインの役割は、UX(User Experince、ユーザー体験)の向上であると考えています。
私たちデジタルプロダクトに関わるデザイナーは、ユーザーがサービスやプロダクトを利用する上での使いやすさやそこで得た価値の満足感を高めていくためのデザイン、つまりUXデザインを得意としています。
顧客信頼性は一つ一つの良いユーザー体験によって累積的に形作られるものと考えており、UX向上は顧客信頼性向上に繋がっていきます。
Googleが発表したGoogle の新しい専門職 : CRE が必要な理由 の中に
“不安は1を信頼性で割った数値に等しい” (中略) ”不安を抱えるお客様は、その気持ちを理解してもらいたいと考え、思いやりや人間性を求めているのです。”
とあるように、信頼性の向上にはユーザーに寄り添ったサービス設計が必要です。
minneではそれを実現するために、信頼性向上のためのUX要件として
- ストレスを減らす
- 疑問や不安を解消する
- 気持ちよく利用できるようにする
の3点を掲げ、これらを施策に落とし込み実行しています。
上に貼った資料では3つの要件の具体的な内容とminneで行なったデザイン事例を紹介しているので、もし興味があればご覧いただけると幸いです。
顧客信頼性向上のために行なっている改善の多くはささいなもので、新しいUIの発明やかっこいいグラフィックを作ったりするものではありませんが、そういったつまやかな改善こそが信頼に繋がると考え、やりがいを感じながら日々取り組んでいます。
おわりに
今回、第11回Customer系エンジニア座談会では hikari 、 mizuena の2名で登壇し、それぞれの発表後Discordにいただいた質問を拾いながら司会者の方と3人でパネルディスカッションを行う、という流れで進行いただきました。
minneをクローズアップしていただき、
- サービスが抱えている課題
- 「成果をどのようにチームで追っている数字の変化として表すか」を念頭に置いた施策の進め方
- エンジニア・デザイナー視点での顧客信頼性向上のアプローチ
これらを広く共有できたのはCREチームとしても大きな進歩だと感じています。
多くのユーザーを抱えるサービスとして、CREはユーザーとminneの掛橋となり、より強固な信頼関係を築いていきます。