デザイン イベントレポート

ペパボデザイナー11名で参加!Design Matters'22 Tokyo 参加レポート[前編]

デザイン イベントレポート

こんにちは。デザイン部のデザインプログラムマネージャーの@mewmoです。

先日、5月14日・15日の2日間にわたって開催された国際的なデザインカンファレンス「Design Matters'22 Tokyo」にペパボデザイナー11名で参加してきました!

このレポート記事前編では、イベントの様子と今回のカンファレンス参加を通してどのような学びを得てきたのか、参加したデザイナー複数名からお届けしていきます!

  1. Design Matters Tokyo ってどんなイベント?
  2. 多様化する「働き方」への向き合い方
    1. リモート時代におけるウェルビーイングのデザイン
    2. リモートな世界の中で文化の複雑性と向き合う
    3. 自分だけの「スペース」を作る
    4. まとめ
  3. 失敗との上手な向き合い方
    1. 「失敗」に対する捉え方
    2. 気にするべき失敗、気にしなくていい失敗
    3. まとめ
  4. 後編に続きます!

Design Matters Tokyo ってどんなイベント?

Design Mattersはコペンハーゲンを拠点としたデザイナーによる、デザイナーのための北欧のデザインカンファレンスです。デザイナーが集まり、アイデアを共有し、経験について話し合う場です。Design Mattersには、デジタルデザイン、テクノロジー、アート、そして社会に対して同じ意欲と情熱を持つ、クリエイティブで好奇心旺盛な人々が参加しています。
Design Mattersについて」から引用

Design Mattersは元々コペンハーゲンを拠点とする北欧のデザインカンファレンスで、2015年から毎年開催されています。Design Matters Tokyoはその姉妹カンファレンスという位置づけとなっていて、本家Design Mattersで登壇した世界で活躍されているデザイナーはもちろん、日本のデザイン業界で活躍するデザイナーもフィーチャーし、デジタルデザインの最新のトレンドと学びを提供することを目的にしています。

今回ペパボでは、そうした新しい手法や考え方に触れて学ぶ機会としてぜひ興味のあるデザイナーはみんなで参加しよう!というCDO小久保の発案により、参加費用は会社負担のもと、デザイナー11名が今回のDesign Matters Tokyoに参加する運びとなりました。

実際に参加してみると、登壇者も参加者も国際色豊かで、かなりアットホームな空気感が醸成されているデザインコミュニティでした。登壇はすべて英語でしたが常に同時通訳がされていて、英語が不得手な方も気軽に参加しやすい場づくりがなされていました。

また、今回のオフライン会場だったDMM.comさんのオフィスでは、休憩時間にレゴを触りながらアイスブレイクできるスペースが用意されていたりと遊び心も感じさせる楽しいカンファレンスでした。

オフライン会場に用意されていたレゴスペースの様子

オフライン会場ではトークセッションのスペースとワークショップのスペースが分かれており、今回のカンファレンスでは20本のトークと4本のワークショップが実施されました。

今回は次の3つをカンファレンスのテーマに、プログラムひとつひとつがどれか1つのテーマにもとづく形になっています。

  • The Scandinavian Approach to Design(北欧のデザインアプローチ)
  • Designning for Remote Collaboration(リモートコラボレーション)
  • Embrace your fuckups(失敗を受け入れる)

それでは次の章からは、それぞれのプログラムで得た学びを実際に参加したデザイナーに紹介してもらおうと思います!

多様化する「働き方」への向き合い方

こんにちは。EC事業部デザインリードの@rinです。

各セッションで共通していた話題の1つが「働き方」についてです。

この2年余りでリモートワークへのシフトが加速し、多様な働き方や生活とのバランスについて考える機会が増えました。この後ご紹介するセッションでは、そういった環境の変化に対応するヒントを得ることができました。

リモート時代におけるウェルビーイングのデザイン

ウェルビーイング(well-being)」という言葉をご存知でしょうか。『心身ともに健康で幸福である状態』を意味し、昨今注目されています。

リモートワークが当たり前になったことで、意識的に仕事と生活のオンオフの切り替えが必要になりました。そのような中で自分が整う時間を作るためのサービス「Nesto」が、トーク「リモート時代におけるウェルビーイングのデザイン」の中で紹介されていました。

  • 日々の生活に秩序を保つために習慣を身につける。例えば朝読書習慣。
  • 同じ時間を共有する仲間を見つける。良い人間関係が健康と幸福を構築する。

テクノロジーから離れ、自分と向き合い1つのことにじっくり取り組む時間を作ることが、心身ともに健康で幸福である状態に繋がるそう。

また、デザイナーは壮大な問題の対処に長けているため、そのスキルセットや思考プロセスを自身のために使ってみるのはどうだろうという提案もされていました。自分自身の体験をポジティブにしていくためのツールとして、ウェルビーイングが活用できそうです。

リモートな世界の中で文化の複雑性と向き合う

次はトーク「リモートな世界の中で文化の複雑性と向き合う」からの紹介です。

Shopifyでは文化圏の違う複数の国のパートナーとリモートワークする上で、次の3つのことを大切にしているそうです。

  • 文化圏が豊かだとより複雑になる。言葉の捉え方や考え方が異なることがあるため、それらを理解した橋渡し役が重要になる。
  • お互いの違いや文化の複雑さを認め合うことで心理的安全性を高める=オアシスを作る。
  • 信頼性のバッテリーを充電する。最高のアイデアは信頼があるところから生まれる。(GMOペパボでは「信頼貯金」と呼んでいます)

ここで言う「橋渡し役」が取り組んでいることは次のような内容です。

  • 柔軟性、忍耐力、持続性を持つ。
  • それぞれの違いやバイアスに気付き、文化的知性を高める。
  • 言語、非言語を上手く使った対話を実践する。
  • それでも上手くいかないこともある。その曖昧性もポジティブに受け取る。
  • チームメンバーのことをよく知るために、プロフィール等をマッピング(可視化)する。

様々な文化圏の方と働く場合は、無理にシンプルに(型にはめることを)せず、複雑性そのものに向き合い認め合うことでチームのオアシスを作ることができます。

多様な働き方を実現しようと取り組んでいるペパボでも、こうした複雑性との向き合い方が大切になってきそうです。

自分だけの「スペース」を作る

最後にトーク「自分だけの「スペース」を作る」から得たヒントの紹介です。

私たちは多様な働き方やコミュニケーションができるようになりましたが、上手くコントロールをしなければ注意力散漫になってしまいます。集中して働くにはどのようにすると良いのでしょうか。

  1. 時間の使い方

    クリエイティブな思考は決められた時間で発案できるものではない。一番仕事ができる時間帯に働こう。

  2. 働く環境

    アイデアが生まれる場所はオフィスとは限らない。シャワー中など、テクノロジーから離れた居心地の良い環境から生まれることもある。仕事と私生活エリアを分けるなどして集中できる環境を整えよう。

  3. マインドセット

    ディープワーク=大切なことに集中する(参考:書籍「DEEP WORK」)。カレンダーをブロックし集中できる時間を作る、タスクのスイッチはできるだけ行わないことで効果的な働き方ができる。

より集中するための3つのポイント

  • ゴールを決める
    • 1週間後の最も大事なゴールを3〜5つ決め、ちゃんと集中できたかを振り返る
  • メンターを置く
    • 自分のクリエイティビティを刺激してくれるようなメンターを持つ
  • 自分をケアしよう
    • 何よりも大切なのは自分自身、心と体をケアする

リモートワークでもオフィスに出社してても、どのような環境下でもベストな働き方ができるよう、自分の「スペース」を整えていくことを意識していきたいですね。

まとめ

今回紹介したトークの中では次のような学びを得られました。

  • 働き方の多様化に伴い、仕事と生活との境界が曖昧になっている
  • そのような中で、まずは自分自身を大切にすることが心身ともに健康でいられる
  • そしてお互いに良い関係を築くことがパフォーマンスに繋がる

私自身もリモートワークを行う上で大切にしていることの1つがメンバー同士の信頼関係を築くことです。コミュニケーションの頻度やタッチポイントを増やす取り組みをしています。

また、ハッとさせられたことは、仕事でも生活でも自分自身のことが後回しになっているかもしれないということです(家だと子ども中心になっている…)。

今回得たヒントをもとに自分とじっくり向き合う時間を作り、より楽しく健康的な働き方ができればと思います。

失敗との上手な向き合い方

こんにちは。minneでプロダクトデザイナーをしている@ohyukaです。

先日参加したDesign matters’22 Tokyoのテーマの1つに「失敗を受け入れる」がありました。

失敗をテーマにした各発表の中で紹介される題材や事例に違いはあれど、皆共通して「失敗は誰にでも起こること」「大事なのはその失敗をどのように捉え、どのように向き合っていくか」ということを伝えていたのがとても印象的した。

こちらの記事では各登壇者に学んだ「失敗」に向き合うマインドや、参考にしたい取り組みについてご紹介したいと思います。

「失敗」に対する捉え方

トップバッターを飾ったAnita Patwardhan Butler氏のトーク「Twitterでのしくじり:イノベーションが生まれる場所」ではTwitter社で大事にしている「失敗」に対する捉え方や、会社をあげてどのような取り組みをされているかについて言及されていました。

失敗を恐れずに行動すること

Twitter社には「失敗」をとても大事にする文化があり、行動するということが失敗しないことよりも大切と考えています。そして「行動」を促し、チームで「失敗」を恐れないマインドを実践するために、次のような考え方の指針を脳内同期するようにしています。

「失敗を恐れて出さない」ことを続けていては世の中がどういう反応をするか計り知ることさえもできない。

難しい問題を解決するために幾つかの失敗は起こるだろうが、それは大切なステップである。

行動をした上で失敗をしたらそこで終わりにしない。次に何ができるか、その失敗をどう活かせるか、考え方を転換する。

上記に加えて、基本的な姿勢として謙虚であること、行動から失敗の一連の流れにおける学習の透明性を大事にすることなども大切なマインドとして掲げられていました。

6つの行動規範

加えて、「失敗」を恐れないこと、「失敗」を必要以上に悪いものと扱わずに行動することを後押しするためにTwitter社ではさらに次のような6つの行動規範が定められています。

行動規範を遂行できているパートナーを表彰するアワードを毎月設けたりと、会社をあげてマインドセットの明文化や浸透に取り組んでいるのがとても印象的でした。

  • 全員がオーナーであるという意識
  • カスタマーエクスペリエンスを大切に
  • 誠実であること
  • シンプル化してできるだけ早く市場に出すこと
  • 意思決定を先延ばしにしない
  • 野心を持つこと

トーク「Twitterでのしくじり:イノベーションが生まれる場所」のスライド資料から6つの行動規範が記載された画像を引用。内容は前述の通り。

トーク「Twitterでのしくじり:イノベーションが生まれる場所」から引用。 ©Twitter

気にするべき失敗、気にしなくていい失敗

続いて、ustwoのプロダクトデザインリーダー・Mayu Nakamura氏のトーク「気にするべき失敗、気にしなくていい失敗」の登壇内容からご紹介です。

環境によって異なる「失敗」の性質

「失敗」と一口で言っても、置かれる環境が違えば失敗の性質も違ってきます。

製造業のような物理的な世界においては目標に対して100%の状態が理想とされており、失敗をするとそこから減点方式になるという性質があります。

一方で、アジャイルの世界においてはチーム自身で考え、試行錯誤を繰り返すことが前提となります。そのため一つ一つのタスクが「チームが学ぶためのステップ、成長するためのステップ」であり、試行錯誤の過程で生じた小さな失敗は基本的に気にしなくても良いとされているのです。

製造業の世界での失敗を図にした画像。詳しくは本文に前述の通り。

アジャイルな世界での失敗を図にした画像。詳しくは本文に前述の通り。

トーク「気にするべき失敗、気にしなくていい失敗」から引用。

恐怖心がチームにもたらす悪影響

とは言っても、アジャイルの世界においても気にするべき失敗は存在します。それはチームが失敗を恐れるがあまり挑戦や勉強の機会を失った結果生じてしまう次のようなケースです。

アジャイルの世界においても気にするべき失敗について図にした画像。詳しくは後述の通り。

トーク「気にするべき失敗、気にしなくていい失敗」から引用。

  • 多くの予算を使ったにもかかわらず誰も製品を使いたがらない
  • 誰もサービスの面倒を見れていない
  • 世の中に損害を与えてしまった
  • チームの中で信頼関係が構築できない、有能な人がいなくなる

小さなミスよりも、本当に心配しなければならないのはこのような大きな失敗です。

では、これらの真の失敗を防ぐにはどうしたらよいでしょうか?

チームでの信頼関係を生むために必要なリーダーシップ

Amy C. Edmondsonによるリーダシップの3原則を見てみましょう。

  • 土台を作る
  • 参加を求める
  • 生産的に対応する

こうした原則を意識した声がけ(「いいね、もう一回やってみよう」「個人的な失敗じゃないよ」「この経験から何を学んだ?」etc…)を行うことで、チームメンバーの失敗に対する恐怖を減らし、チームの学習に貢献する意欲を掻き立てることができます。

大事なのは正しい手順を知っていて手順通りに正確に行動できることではなく、失敗から学んで物事を改善していける力を持つこと、それが本当の「信頼」に繋がるということをチームメンバーに身をもって伝えていくこと、それがチームにとって一番大切なリーダーシップになります。

まとめ

一般的にはまだまだネガティブなイメージで捉えられることの多い「失敗」ですが、実は学習や成長のチャンスであること、そしてそのようなチャンスを得るためには行動を恐れないこと、そのためには適切なマインドセットの浸透やリーダーシップが大切であることをお二方の登壇から学ぶことができました。

自分たちのチームでも信頼関係を生むための日常的な声がけや「失敗」に向き合うマインドセットの共有など、チームメンバー全員が失敗を恐れずに行動できるチームを構築していきたいと思いました。

後編に続きます!

まずは前編、最後までお読みいただきありがとうございます。

今回ご紹介した2つの切り口は、いずれも「働き方」「失敗」それぞれに対しての向き合い方のお話となりました。

私たちペパボはたくさんのメンバーと共に日々サービスを開発しています。メンバーも働き方も多様になっていく中で、今回紹介のあった向き合い方、マインドセットをヒントに、より良いサービス開発を行っていきたいです。

また、レポート記事は後編に続きます!後編ではさらに具体的にデザイン業務で活かせると感じた学びや、現地会場のみで開催されたワークショップの内容についてご紹介する予定です!

次のレポート記事後編もお楽しみに!それでは!