執行役員 VP of Engineering 兼技術部長の @hsbt です。Horizon Fobidden West やアサシンクリード・ヴァルハラの DLC 第三弾をプレイしつつモンスターハンターライズのサンブレイクの発売を待っている春この頃です。
GMO ペパボ(以下、ペパボ)では、2022年2月に所属しているエンジニア全員 100 名強にキャリア意識に関するアンケートを取りました。今回はこのアンケートの結果の一部についてご紹介します。
調査内容
キャリア意識に関するアンケートにはエドガー・シャインによるキャリアアンカーに基づいた質問や今後伸ばしていきたい技術領域など、多岐にわたって質問をしています。アンケートに含まれる質問のうち、『LeanとDevOpsの科学』に紹介されている「組織文化の測定」に基づいた調査とその結果が特徴的だったため、テックブログのこの場で公開します。
『LeanとDevOpsの科学』の質問を用いた理由
『LeanとDevOpsの科学』については、序文の Martin Fowler のコメントにもあるように「自分たちが支持し推奨している理論を追認する結論だけを出しているのではないか」ということは差し引いて読む必要がありますが、個人的にはエンジニアリングを担う組織の成熟度、または文化について何かしらの測定方法について一石を投じた、ということと調査や測定そのものについての基礎的な考え方を学ぶことができた、という2点において有用な書籍であると考えています。
ペパボでは、この本で紹介されている各種調査や測定について、生産性評価に相当する Four Keys についてはデータ分析基盤 bigfoot を用いて機械的に導出し、継続的に組織活動に利用しています。Four Keysについての取り組みについては ANDPAD さんとのイベントにて紹介されているのでこちらをご覧ください。
- ANDPAD TECH TALK 第10回 - 開発チームの生産性向上に取り組むスペシャリスト対談!前編 開発チームの生産性の可視化に興味を持った理由
- ANDPAD TECH TALK 第11回 - 開発チームの生産性向上に取り組むスペシャリスト対談!後編 可視化ツールを導入してみて分かったこと、そして今後の展望
今回、『LeanとDevOpsの科学』に紹介されている生産性評価とは別軸の組織文化の評価に着目して、従来から実施しているキャリア意識に関するアンケートに質問として加えました。
質問内容
調査は Google フォームを用いて作成した質問票を用いました。このキャリア意識に関するアンケートは 2015 年、2020 年にも実施しており、過去のフォームを流用することで質問自体は簡単に作成できるようにしています。組織文化の測定に関係する質問は『LeanとDevOpsの科学』 p.41 に掲載されている図 3.1 と同一の質問をリッカート尺度で回答する内容にしました。
質問項目は以下の 7 つです。
- 情報を積極的に収集する
- 失敗など、良くないニュースを知らせても罰せられない
- 責任を共有できている
- 職能の垣根を超えた協働が推奨、報奨されている
- 失敗があると調査が行われる
- 新しいアイデアが歓迎される
- 失敗がまずシステム改善の機会と受け取られる
上記について、1が「全く同意できない」から始まり、4が「どちらとも言えない」を経て、7が「強く同意できる」という尺度で回答を集めました。
調査結果
今回の調査結果の概要は以下の通りです。
調査対象: GMOペパボに所属するエンジニア
調査期間: 2022年2月17日〜2月25日
対象人数: 118人
有効回答数: 113人
回答率: 95.8%
それでは回答について、棒グラフで集計した結果を見ていきましょう。
調査結果のグラフ
調査結果に対する解釈
おおよそ、どの質問に対する結果についても同意できると解釈できる 5-7 の回答が多数となっています。この結果から少なくともペパボにおいては、7つの質問の項目について所属するエンジニアにとっては実現されていると感じていると解釈しています。組織文化に関する7つの質問は、これらの数値が高いから生産性が高い、という単純なものではなく、あくまでも「心理的安全性がありそう」「新しいチャレンジを推奨してそう」という定性的なものです。
私の仕事はペパボに所属しているエンジニアの成果を最大化し、結果として事業成長につなげることなので、全員の意思の総体としての文化は私が考える成果を最大化するための組織風土と合致してそう、という結果を得られたと考えています。
一方で、質問項目のうち 「情報を積極的に収集する」「責任を共有できている」「失敗があると調査が行われる」については「強く同意できる」が多数の回答ではなく、どちらかといえばそう思うという回答が多数であったり、他の4つの質問と比較するとペパボの組織が強く実現できてないという項目のようです。繰り返しになりますが、責任が共有されているのがどのような場面でも良いことだ、という結論ではないものの、そう考えなかったという組織・チームの状況にフォーカスを当てて組織文化の情勢については引き続き把握したいと考えています。
まとめ
今回は、ペパボのエンジニアに対して組織文化についてどのように考えているかのアンケートの結果をご紹介しました。この調査はペパボに所属しているエンジニアや組織の雰囲気はこのような状況、というのを把握することに大変役に立ったと個人的には感じています。この結果をインプットとして、良いプロダクトを生み出すための取り組みを始める予定です。
ペパボでは、今回のように事業部門とは別軸でエンジニア組織を定性面・定量面の両方で把握を行いつつ、個々人の成長からプロダクトの成長まで幅広く様々な取り組みを行なっています。ペパボで働くことに興味がある方は是非お声がけください。