EC事業部シニアデザイナー @oyamada です。普段は弊社サービス「カラーミーショップ」の管理画面改善業務を行いながら、社内にデザインリサーチを広める取り組みを行なっています。
UXデザインにおけるユーザーリサーチとは、ユーザーの実態を可視化して最適な提案をするためのものです。その手法は様々あり、ユーザーの声を聞く定性リサーチや、数値的に測る定量リサーチがあります。
この記事では、定量リサーチの手法のひとつ、SQLを使ったリサーチについて、そのメリットとともにご紹介します。
データベースの中はUX改善ヒントの宝庫
Webサービスにおいて、ユーザーに関する情報の多くはデータベースに保存されています。データベースの中はユーザーの情報の宝庫であり、デザイン的課題を解決する上で重要な手がかりが多く含まれます。
デザイナーがその情報を得る方法も様々なものがありますが、SQLが一般的な手法と言えます。SQLによるリサーチを行えるようになると、大きく2つのメリットがあります。
1. ユーザーにまつわる様々な要素の「量」を可視化できる
SQLを使うと、例えば、あるWebサービスのユーザーが「どのぐらい投稿をしているか、それはどんな内容で、文字数であるか」という量の抽出や「ユーザーの属性別の投稿数にどのぐらい差があるか」など軸を設定した量の比較を簡単に行うことができます。
正解のない「デザイン」という命題に対し、まずは「量」が分かれば、ユーザーにとって最適なデザインを作ることへの近道となるでしょう。
また、「量」が分かっており、それが正しく分析され、可視化されていれば、エンジニアやプロダクトオーナーと対話しながらチームで改善を進める際に、心強い根拠となるでしょう。さらに、データサイエンティストがチームにいて、共に改善に加わってくれる場合は、共通言語となり、施策が進めやすくなります。
2. そのデザインの対象者を抽出できる
例えば、なにかの機能改善のためのアンケートを実施するとして、闇雲にアンケートのお知らせを出してしまうのは悪手と言えます。Webサービスの画面は常に情報で溢れており、ユーザーが瞬時にその情報を理解することを求められる状況において、自分に関係ないお知らせは少ない方が良いでしょう。
デザイナーがSQLを理解していれば、その機能をよく使っている対象者を絞り込むことができ、メールにしろ通知にしろ、対象ユーザーにのみお知らせを表示できます。
結果、対象外ユーザーの画面には影響を与えることなく、改善に必要なアンケートを実施し、確度の高い回答を得ることができ、ユーザーの実態を可視化しやすくなり、良いデザインを作ることができます。
アンケート実施以外にも、何かしらの改善業務を行う時、その改善が影響を及ぼすユーザーの範囲を知っておくことは、デザインに関する議論をするうえでの大前提です。
SQLを使ったデザインリサーチを行うには
上記で述べたように、デザイナー自らがデータベース構造を理解し、内部の情報を調査・分析することは、良いデザインを作る近道になります。
まずは本番環境のデータベースを参照できる環境が必要ですので、この記事で書かれているメリットを提示して、エンジニアさんに相談しましょう。弊社ではRedashを使用しています。 minne事業部での導入例»
また、SQLの文法を理解することは必要ですが、それより前に「この課題のために、仮説はこう立てたので、こういうことが知りたい」というビジョンを持ち、共有しておくことが先決です。そのビジョンを提示しながら、SQLに詳しい人に聞き、ハンズオンで学んでいくと良いでしょう。
まとめ
デザイナーがSQLを書けるようになることで、「ユーザーに寄り添ったデザイン」を、理念だけでなく手法として実践することが出来ます。GMOペパボではこのようにリサーチ面でデザイナーが成長できるよう、勉強会なども実施し、組織としてデザインする力を高めていきます。