デザイン ナレッジシェア チームビルディング カラーミーショップ

みんなで作る!サービスをより良くするデザインレビュー

デザイン ナレッジシェア チームビルディング カラーミーショップ

こんにちは!EC事業部デザインリードの @rin です。
最近息子が図鑑にハマっている影響でやたらとウニの名前に詳しくなってしまいました。お気に入りはパイプウニです。

さて今回は、合同LT大会「 Design Study Morning #04 」で発表した、カラーミーショップのデザインレビューの体制についてご紹介します。

チームでデザインレビューを行いたいけど何から始めたら良いかお悩みの方や、すでにデザインレビューを行っているけど他社はどうしているの?という方への一例として参考になれば幸いです。

  1. デザインレビューの目的
  2. カラーミーショップのデザインレビュー体制
    1. 「デザインご意見さん」が中心となってデザインレビューを行う
    2. この体制になったきっかけ
    3. 体制づくりで取り組んだこと
  3. リモートワークで変わったことは?
  4. デザインレビューで大切にしている3つのポイント
    1. 「HRT」を大切にすること
    2. デザインや施策の文脈を共有すること
    3. 答えではなく道筋を示すこと
  5. まとめ

デザインレビューの目的

デザインレビューには2つの立場が存在します。 レビューを受ける側(レビュイー)と、レビューを与える側(レビュアー)です。

デザインレビューは、対象となるデザインが目的を達成するために十分に機能するかどうか、もっと良くするためにはどのような方法があるのかなど、お互い(または複数人)のスキルやノウハウを持ち寄ることで建設的な議論を行い、気付きを得るためのものです。
ポイントは「お互いに」行うということ。2つの立場に上下関係はなく、デザインレビューは一方的なものであってはなりません。

このようなデザインレビューの目的が共有されているかどうかは非常に重要です。
お互いの認識や心構えがズレていると、効果的なデザインレビューを行うことはできません。

カラーミーショップのデザインレビュー体制

「デザインご意見さん」が中心となってデザインレビューを行う

カラーミーショップを運営するEC事業部には現在11名のデザイナーが所属しており、制作したデザインに対してデザイナー同士でレビューを行う文化があります。
リリース前のチェックポイントとして、必ずデザインレビューを行うようにしています。

レビュアーはシニアデザイナーやコミュニケーションデザインをエキスパートスキルとしているデザイナーが主に担当しています。
依頼時はSlackで「デザインご意見さん」と声をかけると、ランダムでレビュアーが選ばれるようになっています。

Slackでデザインご意見さんが呼ばれたときの様子

レビュイーは依頼するときに以下の情報をまとめておくことで、レビュアーとのコミュニケーションがスムーズ進むよう工夫しています。

📍 課題と目的
📍 デザインの意図
📍 レビューポイント
📍 対応希望期日

この体制になったきっかけ

今の体制になったのは約4年前で、それ以前は以下のような課題がありました。

  • レビュアーが属人化していた
  • チームメンバーがレビューに対して苦手意識を持っていた

以前は私1人で他のメンバーのデザインレビューを行っていました。ですが、私が産休に入るタイミングで「そもそも属人化せずにみんなでレビューできる方が良いのでは」と、複数人でレビューを行う体制を作ることになりました。

また、属人化していた理由の1つでもあるのですが、チームメンバーがレビューに対する苦手意識を持っていました。具体的には「自分が作ったものが否定されるようで怖い…」、「自分なんかが他人のデザインに口をだすのは気が引ける…」など。そんな苦手意識をなくし、活発な意見交換によってカラーミーショップのデザインをより良くしたい!楽しく仕事ができるようにしたい!という思いもあり、デザインレビューの意識改革を行うことにしました。

体制づくりで取り組んだこと

主に以下のことに取り組みました。

① デザイン批評に関する読書会

まずデザインレビューに対する認識を統一するために「 みんなではじめるデザイン批評 」の読書会を行いました。こちらの本にはデザイン批評の解説や具体的な手法、コミュニケーションのテクニックなどが書かれており、とても参考になりました。
私が行っていたデザインレビューは個人の経験から得たところが大きかったため、本の知識に頼ってスコープを広げたかったという意図もありました。

② デザインレビューのガイドラインを作成

次に、読書会で話し合った内容をもとに「デザインレビューのお作法」というドキュメントを作成・共有しました。こちらにはデザインレビューの目的、進め方、レビュアー/レビュイーの心構え、Q&A、参考になりそうな過去事例などがまとまっています。

デザインレビューのお作法のキャプチャ

③ 引き継ぎを兼ねたダブルレビュー

最後に、色々とインプットはできたので、実際にみんなにデザインレビューにチャレンジしてもらいました。ただ、いきなり任せられても戸惑ってしまうと考え、引き継ぎも兼ねて私+チームメンバー1名によるダブルレビュアー期間を設けました(約1ヶ月間)。まずは思うようにレビューをしてもらい、必要に応じて私が追加でレビューをし、レビュアーにもフィードバックを行うようにしました。

あれから4年が経ちましたが、今もこの体制を継続してデザインレビューを行っています。

リモートワークで変わったことは?

ペパボでは2020年から、パートナーの多様な働き方を実現するためにリモートワークを導入しました。

それまではオフィスで対面のオフラインコミュニケーションがメインでしたが、現在は基本的にみんなが在宅勤務なので、SlackやGoogle Meetなどのオンラインコミュニケーションがベースになります。
以前はちょっとしたことでも対面であればすぐに相談することができました。リモートでもそれと同等にしたいと考え、基本的にはGitHub EnterpriseのIssueやSlackでやり取りを行いながら、口頭で相談したい場合はSlack HuddlesやGoogle Meetを活用し「フードコート」という常時オープンなオンラインMTGの場を設けています。
リモートワークになったことでデザインレビューの頻度が減ったということもなく、結論ツールを活用して工夫をすればオフラインに相当したデザインレビューを行うことができていると感じています。
リモートワークで良くなった点としては、依頼時やレビューのコメントの書き方がより丁寧になったことです。デザイナーに限ったことではありませんが、リモートワークになったことで相手に適切に意図を伝えるために言語化する能力が高められているように感じます。

デザインレビューで大切にしている3つのポイント

「HRT」を大切にすること

「HRT」とは、謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)の頭文字です。
書籍『Team Geek ――Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか 』では以下のように書かれています。

あらゆる人間関係の衝突は、謙虚・尊敬・信頼の欠如によるものだ

デザインレビューはコミュニケーションです。相手に対する謙虚、尊敬、信頼を意識することで良いフィードバックを行う・受けることができると考えています。

デザインや施策の文脈を共有すること

デザインには必ず目的があります。解決したい課題と目的、それに対してどのように思考した結果そのデザインに至ったかを、レビュアー/レビュイー同士で共有しましょう。
文脈が共有されなければ、レビューはレビュアー個人の主観による感想になってしまい、「目的を達成するために適切なデザインになっているかどうかを判断する」というレビューとしての効果が失われてしまいます。
さらにレビュイーはレビューポイント、いつまでに見てほしいかなども依頼時にまとめて伝えることで、スムーズなデザインレビューを行うことができます。

答えではなく道筋を示すこと

デザインレビューはあくまでレビューであり、指示ではありません。具体的な答えを伝えるのではなく、より良くするための道筋を伝えることが重要です。
レビュアーが伝える視点は、レビュイーが見落としていた部分かもしれません。レビューによってレビュイー自身が気付きを得てさらに思考し、デザインをより良くブラッシュアップしていくことが成長に繋がります。
ただし、ルーキーデザイナーに対してはあえて具体的な指示やヒントを伝えることで、より気付きを得やすくなるように導くこともあります。

まとめ

デザインレビューをより効果的なものにするために、みんなの意識を揃え一緒に取り組んだことが一番良かったと感じています。
デザインレビューに重要なことはコミュニケーションであり、レビュアーもレビュイーも同じ目的を持ち、互いを尊重することで、レビューを行いやすい環境=心理的安全性が高いチームになることができました。
結果として、カラーミーショップとして提供するデザインやユーザー体験の向上に繋がっています。

現在は制作プロセスの後半でのデザインレビュー(サービスとしてアウトプットするデザインの最終承認的な役割)が多いのですが、初期段階から目的を達成するために最も効果的なデザインを一緒に考えるためのデザイン批評が行える文化作りも進めています。

以上、カラーミーショップのデザインレビュー体制についてご紹介しました!
他社での取り組みにも興味があるので「うちではこうしてるよ!」などありましたらSNSで気軽にお声がけくださいね。
最後に、カラーミーショップでは一緒にサービスを盛り上げていただけるデザイナーを大募集中です!