こんにちは。ホスティング事業部デザイナーのはるな @harunaharuko です。
この記事では、ペパボデザイナー全員が参加して開催される共有会「 Designer All Hands 2020.12 」で発表した、サービスデザインの手法「ステークホルダーマップ」の活用についてご紹介します。
- 「ステークホルダーマップ」とは
- なぜ作るのか
- ステークホルダーマップの作成
- 何がわかるようになったか
- カスタマージャーニーマップ、ビジネスモデル図との違いは?
- ステークホルダーマップを活用する意味
- まとめ
「ステークホルダーマップ」とは
ひとつのサービスに関与する多様なステークホルダーとその関係を視覚化したものです。誰が関わり、それらの人々と組織がどのような利害関係を持って結びついているのかを把握することができます。
参考:『THIS IS SERVICE DESIGN DOING サービスデザインの実践』
なぜ作るのか
ホスティング事業のBtoBサービスの中で、ひとつの体験が「誰のためのものなのか?」がぼんやりしている状態でした。ターゲットの解像度を上げるためには、サービスに関わる組織やステークホルダーを改めて整理する必要がありました。
ステークホルダーマップの作成
ホスティング事業のBtoBサービスで用いたステークホルダーマップ
上記が作成したステークホルダーマップです。作成にあたり以下の点がポイントになりました。
- ターゲット企業を制作会社・事業会社とする
- 制作会社の向こう側にいるクライアント企業を加える
- 利用顧客だけでなく「外部メディア」「技術コミュニティ」を加える
制作会社・事業会社などの組織の中には、「利用者」「運用者」「決裁者」といった複数のステークホルダーが存在します。それぞれの目的や影響関係を把握するために、そのすべてを洗い出すことが重要になります。
以上のようなことを、チームで認識を合わせながら作成していきます。
何がわかるようになったか
ステークホルダーマップを作成することで以下の点がわかるようになりました。
- サービスを取り巻く人たち全体を知ることができる
- 顧客でなくても、顧客に影響を与える人たちの存在がわかる
- ひとつの変化が、他のどの人に影響するか見える
- モノ・情報・お金の流れの関係性が明確になる
- リーチ出来ていない人たちを把握できる
カスタマージャーニーマップ、ビジネスモデル図との違いは?
サービスの全体像を俯瞰するためのマップは、他にもカスタマージャーニーマップやビジネスモデル図などがあります。 以下では、ステークホルダーマップとそれぞれのマップの違いを比較しています。
カスタマージャーニーマップと比較
カスタマージャーニーマップ | ステークホルダーマップ | |
---|---|---|
定義 | ひとりの顧客が目的を達成するまでの行動・感情を視覚化したもの | サービスを取り巻く人・環境を全体的に理解するもの |
視点 | 顧客視点 | 全体的な視点 |
時間軸 | 時系列 | 時間軸は表現しない |
ビジネスモデル図と比較
ビジネスモデル図 | ステークホルダーマップ | |
---|---|---|
定義 | 価値の移動・交換に注目してビジネスの仕組みを伝えるもの | サービスを取り巻く人・環境を全体的に理解するもの |
範囲 | 重要な部分だけシンプルにわかりやすく | 全体を網羅 |
誰のための | チームメンバー・経営陣・投資家など | チームメンバー |
レンタルサーバー「ロリポップ!」のビジネスモデル図(GMOペパボ決算説明会資料より)
参考:ビジネスモデル図解のコツ|チャーリー|note
ステークホルダーマップを活用する意味
サービスデザインにおいて、ペルソナやカスタマージャーニーマップを活用し、顧客視点に立つことは重要ですが、その顧客を詳細化するのはデモグラフィックな情報によってではありません。サービス体験のさまざまなタッチポイントで、誰にどう影響するかは変化します。そのステークホルダーの影響関係を詳細化し、顧客にとってサービスを望ましく機能させることが必要になります。そのために、ステークホルダーマップの活用が有効です。
まとめ
ステークホルダーマップの活用により、ひとりの架空の顧客視点だけでなく、サービスに関与するさまざまなステークホルダー・組織をホリスティック(全体的)な視点で捉えることで、顧客全体の理解を深めデザインができます。
それが、ひとりひとりの実際の顧客体験の向上につながっていくのです。
ぜひ、サービスを運営するチームで活用してみてください!