ホスティング事業部プロダクトチーム デザイナーの @keita_kawamoto です。
2017/11/25(土)にFukuoka Growth Nextで 福岡Ruby会議02 が開催されました(以前のエントリー 福岡Ruby会議02に参加しました と同じイベントです)。今回のエントリでは、懇親会で行ったコミュニケーションデザインについてご紹介します。
このエントリにおける「コミュニケーションデザイン」の定義
コミュニケーションデザインという言葉は、広告や設計理念をはじめ多くの意味で利用されます。誤解を避けるため、ここでは 「人と人のあいだのコミュニケーションをデザインすること」 と定義します。
きっかけは実行委員長の提案
きっかけは弊社のエンジニアであり福岡Ruby会議02実行委員長である @udzura 。
福岡Ruby会議02という、大規模なRubyの勉強会がたまたまFukuoka Growth Nextでやって、私はたまたまその関係者なのですが、スポンサー枠として懇親会の運営に協力し、一緒に乗っ取ってしまおう!という動きをご提案したいです。 せっかくなので、面白い懇親会にできるといいな!!
その提案に仲間たちが集まり、チームが結成されました。Rubyというプログラミング言語から受けた恩恵は大きく、さらにペパボにもRubyist(Rubyの愛好者)がたくさんいます。ならば、 もっと福岡のRubyを盛り上げたい。もっとおもしろくしたい。という動機です。 ワクワクしますね。
実行フロー
今回行ったコミュニケーションデザインの具体的な流れは以下のようになります。
では、上から順に見ていきましょう。
(1)チームで企画の狙いや仮説の検討
懇親会で重要視するポイントは「 我々はどうすれば参加者のコミュニケーションをさらに活発にでき、参加者がより楽しめる状況を作り出せるのか? 」でした。
RubyFriends という風習があるので、それをヒントにフォトフレームや小物を用意するのがいいのではないか?しかしそれだけではコミュニケーション活発化という目的に対し大きなプラスにはならなそう…
そこで他にもないか検討したところ、
- Rubyist同士のRubyにまつわるカード交換ゲーム
- 会場で事前アンケートした「好きなGemランキング」のベスト5を予想し、そのカードを揃える
という「Gemカードゲーム」というアイデアが生まれました。Rubyには「Gem」という様々なライブラリがあり、それをカードにしたゲームです。Rubyist同士がカードを交換する際にコミュニケーションが生まれ、ランキング結果発表の際の会場に一体感が生まれることを狙います。
(2)アイデアをデザインする
Gemカードゲームの具体的な内容に関しては、企画チームの中から主に @udzura 、@akrmiya、@keita_kawamoto が担当し設計しました。ゲームとして成立させること、ゲーム参加者がワクワクすること、結果発表で盛り上がれることが重要です。
人気度のリサーチ
そもそも、どのようなランキングとなるのだろうか?その結果は福岡Ruby会議当日の参加者のアンケートによってはじめて決まる。しかし、カードは事前に準備しておかなければならない。そこで、だいたいのアタリをつけるべく、社内で事前リサーチを行う必要がありました。
社内のエンジニアへのリサーチ結果、ひとつのサンプルランキングが完成。さらにテストし精度を高め、簡単に1位〜3位を当てられないであろうランキングを導き出しました。
Gemの種類とカード配分
同じ種類のGem5枚を1セットにして、参加者1名に渡す。ランダムで5枚ではなく、同じ種類を5枚にしたのは、 より交流を促進させるため 。別の種類を求めて自然とカード交換が発生するのを狙いました。
カードは見せるのか?見せないのか?
ゲームのプレイ方法についても検討します。
- 持ち札の中身は「見せるのか」
- 持ち札の中身は「見せないのか」
ババ抜きのようにして運による5枚にするのか、見せ合って自分の意思でランキング上位であろう5枚を選べるようにするのか。
なぜこのポイントを検討したかというと「福岡Ruby会議参加者にとって人気であるGemが明らかなのか否か」が定かではなかったからです。もし上位のGem5種類がわかりきっているのであれば、カードを見せ合う形式では上位カードの奪い合いになってしまってゲームとして成り立たない。そんな展開では、コミュニケーションとしてもつまらない。もし上位のGem5種類を当てるのが難易度が高いのであれば、見せ合って自分で検討して揃える、で成り立ちます。
@udzura さんによれば、
- 上位10位まではなんとなく予想できても、5位までを絞り込むのは困難
- なにより、カード交換時の会話が弾むイメージがあるので「見せる」を断然推す
見せ合ってもゲームとして成り立つうえ、見せ合えば会話が弾むことが見込める。コミュニケーションを活性化させ楽しい場にするという目的に対し、まさにいい形でした。
カードゲームで、自分のデッキを見せ、自慢する。または羨ましがる。子供時代のあの感じを再現できそうで、楽しくなってきました。もちろん昔体験したことがなくてもきっと楽しいはず。
(3)アイテム作成
アイテム類は @keita_kawamoto が制作。フォトフレーム以外はお手製です。Gemカードのフォント選びは、rubygems.org をイメージできるようにしました。
Gemカードに載せるロゴのライセンス
カードには目視でのわかりやすさを向上させるためにそれぞれのGemのロゴマークを載せたい。なので、権利周りについて相談・確認しました。今回の懇親会の参加費は、純粋に飲食代のみです。Gemカードをはじめとしたコンテンツに対しお金が発生することはありません。なのでRuby on RailsのSelling merchandiseには当たらないこと、そしてロゴ利用に関しライセンス表記がないGemも、すべてオープンソースであることを考慮し、それぞれのソフトウェアのライセンスと同等でよい、カードにロゴマークを載せるのは大丈夫、という判断をしました。
当日の様子
全体の印象としては、成功と言っていいのではないでしょうか。みんなが楽しそうにコミュニケーションをしていました。作った側としては、作ったものを楽しそうに遊んでくれる様子を見られるのがとても嬉しいです。 そしていよいよ、会場のみんなの好きなGemランキング結果発表です。
唯一ランキング1位〜5位をストレートで当てた副実行委員長おめでとうございます!「やらせ!」というやじが最高でした。ストレートの場合の賞品は、コンテナ5つ!
gemカードにサインを頂きました。大事にします。 #fukuokark02 https://t.co/tAG5ZVEsxp
— まなてぃ (@hnmx4) 2017年11月25日
会場ではこのようにGemカードに作者ご本人のサインをもらう、などもあったようです。そんな使い方もあったのか!最高ですね。
まとめ
今回の企画は大成功だったと思います。笑顔がいっぱいで本当にやってよかった。
今回学んだコミュニケーションデザインの大事なこと
まだまだ経験が少なく、拙い部分も多かったです。しかし今回行ったコミュニケーションデザインを振り返ってみて、大事だなと思ったことは
- 理想状態は何か最初にはっきりさせること。全員が同じゴールを見据えれば、ブレない。
- 対象はどのような人々なのかはっきりさせること。「その人たちにとって」どうなのか、がもっとも重要。
という部分でした。またこのような活躍できる機会があれば、どんどん携わり、コミュニケーションデザインについても学びを得ていきたいと思います。
おまけ:栄えある優勝者への景品「コンテナ」とは?
商品の「コンテナ」ですが、これはRubyやRuby on Railsの開発にも使える ロリポップ!マネージドクラウド というサービスで利用する「コンテナ」というものをモチーフに作ったお菓子の詰め合わせです。
そんな通称「マネクラ」は、Rubyの開発にもぴったりの環境 です。Rubyistのみなさん、ぜひ試してみてください。きっと気に入っていただけると思います。