ロリポップ!レンタルサーバ を始めとした、ホスティング事業のインフラエンジニアをしている、 @takumakume です。 毎日プロテインを飲んで筋トレをしていたのですが、3日サボったら元に戻ってしまいました。絶対に来年の夏までに再開したいと思います。
さて、本日は 「ペパボ・はてな技術大会@福岡」 を弊社の福岡オフィスにて開催いたしましたのでレポートをしていきたいと思います!
この度は、非常に多くの方に参加表明を頂きましたことをこの場を借りてお礼申し上げます。
イベントの詳細については、こちらのエントリをご覧ください。 また、当日の状況などは #pepabohatena のハッシュタグにて見ることができます!
今回のテーマは、「ペパボのシステム(なめらかなシステム)」と「はてなシステム」ということで、技術的な構想から具体的なサービスの裏側の話をさせていただきました。
本エントリを読み進めていくにあたり、前提知識となってくる「なめらかなシステム」についてご紹介します。
- システムにとってのユーザや、システムを構成するサーバ等の要素が、どのようなカテゴリに属するか、いかなる特徴を持つかを、精緻に認識する
- その際、ユーザやシステム管理者といった人間に労苦を強いるような明示的な操作を課さない
- 1.および2.で得たより精緻なカテゴリや個別の特徴、あるいはそれらの間の関係性に基づき、その時々の状況に応じて最適なサービスを提供する
では、弊社のセッションの内容・最後に行われたトークセッションについてのご紹介をしていきます!
ホスティングにおける安定運用のためのアクセスコントロール手法
まずは、本エントリの筆者 @takumakume の発表です。
本セッションでは、ホスティングサービスのおける様々な負荷パターンに対して、既存のアクセス制御手法における課題と、その課題を解決した新しいアクセス制御基盤をmrubyを用いて開発したという話をさせていただきました。 これまでの限られた機能下でのアクセス制御だけではなく、mod_mrubyというmrubyを用いた拡張性・保守性・生産性の高いアクセス制御基盤を開発して「進化し続ける」システムを構築し、日々増え続ける課題を柔軟に解決できるようにしたことについて紹介しています。 進化し続けるシステムを構築して「なめらかなシステム」に近づけていくことを目指しています。
ホスティングをなめらかにしたい話 〜ロリポップ!マネージドクラウド〜
@ry_023 による発表です。
本セッションでは「なめらかなシステム」を代表する、ペパボの新サービス(αテスト実施中!!)である「ロリポップ!マネージドクラウド」 のサービスの裏側の話をさせていただきました。 このサービスは、FastContainerアーキテクチャ と haconiwa というOSSのコンテナランタイムをベースとしたコンテナ型クラウドホスティングサービスです。 マネージドクラウドでは、お客様により快適で最適に自動化されたサービスを提供することを目指しています。 これまでのレンタルサーバサービスで培ってきたノウハウを活かし、そこで発生したゴツゴツした課題をどのようになめらかにしていったかということについて技術的に紹介しています。
技術のあくなき探求そして世界のペパボへ
@linyows による発表です。
本セッションでは、linyowsのペパボへの入社当時(2009年)から今に至るまでの技術要素の遷移や組織体制の整備の話から始まりました。 その時の流れとともにビジネス環境は変遷し、ペパボでは「技術を持ってビジネスをする世界 他が真似できないこと、技術的新規性」が重要であると考えてサービスの開発を進めてきました。 またその流れを後押しするために、生まれるべくして生まれた「ペパボ研究所」の役割とともに説明しています。 "ないモノは作る" ことで、ペパボは すごい技術を生み出して 世界でNo1 を目指します!
トークセッション「はてなシステム vs なめらかなシステム」
- モデレータ:
- ペパボ @kentaro
- 登壇者:
- はてな @y_uuk1
- はてな @yoyogidesaiz
- ペパボ @matsumotory
- ペパボ @monochromegane
弊社CTOの@kentaroをモデレータとして、「はてなシステム」「なめらかなシステム」についてそれぞれの構想を語って頂きました。 真剣トークあり、談笑ありの和やかな雰囲気で進行しました。
まず、トークセッションの導入として、はてな・ペパボでは会社やサービスの特性上「ミッション」「サービス」「考え方」の側面で複数の共通点があるという話から始まりました。
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ミッション
- はてな: 「知る」「つながる」「表現する」で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする
- ペパボ: インターネットで可能性をつなげる、ひろげる
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サービス
「クリエイターの表現を支援」 「多種多様で長年継続」
その特性上サービス、インフラの複雑度が高いという技術的課題を抱えています。
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考え方
- 「ビジョン駆動」
- 「アーキテクチャの分解と再構築」
- 「必要なものは自分たちで作る」
一方で、「はてなシステム」と「なめらかなシステム」においてどういった相違点があるかという話。 まずは、それぞれのシステムの考え方やルーツについて語って頂きました。
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はてなシステム
ミッションからビジョンを定義する中で「分解と再構築」「観測と実験」というキーワードでそれらを体現するようなソフトウェアやサービスが作られています。 「分解と再構築」では droot というソフトウェアであったり、「観測と実験」では mackerel という監視サービスが存在します。
「分解と再構築」「観測と実験」は人の生活の中でもあることです。 ヨーロッパにある考え方にビスポークというものがあって「革靴にはソールを外して取り替えられる設計の物があり、壊れたら捨てるのではなくソールを交換することで長く使うための工夫がされている」と言うものがあります。これは「分解と再構築」の一例です。
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なめらかなシステム
「なめらかなシステム」というのは、本エントリの冒頭で紹介したような3つの要件があります。
従来、人の目でしかわからなかったものをシステムが自動的にすることです。 例えば、アラートは自動で上がってくるが人の手によって判断してアクションするようなゴツゴツとしたところをなめらかにするということがあります。 他には、機械学習によるレコメンデーションを自動で行うということもやっています。
これまでの発表であるように、はてなでは複数のシステムに対して「分解と再構築」「観測と実験」を行う、ペパボでは様々なユーザの振る舞いに対してどのようになめらかにしていくのかという切り口で取り組んでいるという違いがあるという話がされました。つまり、各システムの観点の相違点というのは以下であるということです。
- はてな: 多様なシステムに対応する
- ペパボ: 多様なユーザに対応する
ただ、切り口は違えどそれぞれのシステムの強みはお互いに必要としていて、例えば「なめらかなシステム」ではなめらかさ故に高度な「観測」が必要であると考えているし、「はてなシステム」においても分解と再構築、観測と実験をする中である種のなめらかなシステムにしていくということで最終的に目指すところは似ているという話がありました。
ペパボ・はてな技術大会を通して
当日は多くの方がセッションを聞きに来てくださり、懇親会でも技術的な相談や発表に対するフィードバックなどいただき身になる1日となりました。
個人的なところだと、私の発表は具体的な実装についての技術的な話をさせていただきました。はてなさんの発表では人の生活や別のレイヤでのアーキテクチャをインフラに適応してそれを抽象的に表現しソフトウェアに落とし込んでいくという考え方や実装能力について非常に刺激になりました。今後は具体的な実装のみならず抽象的なレイヤにおいても、議論したり考案できるような知識をつけて圧倒的技術力で事業を差別化できるようなエンジニアになりたいと感じました。