少し時間が空いてしまいましたが、 今年のペパボの新卒デザイナー研修ではどんなことをやっているのかを座学編、OJT編2回に渡りご紹介したいと思います。
今年の新卒デザイナー研修は演繹的学習
今年の新卒デザイナー研修は演繹的学習という方法で行いました。 演繹的学習とは、現場で必要な知識(原理原則)を現場に入る前に教えるというものです。 反対に、現場にいきなり入って、試行錯誤しながら覚えていく方法を「帰納的」と言います。
演繹的学習のメリットとして、以下のようなものがあります。
- 原理原則を最初に学んでいるので、実際の作業時のとまどいが少ない。
- 学習に明確なゴールを設定するため、指導者も学習者も同じ目標を共有できる。
- 「帰納的学習」に比べて、知識の習得スピードが早い。
いきなり現場に入って体で覚えて行く「帰納的学習」もメリットがありますが、 帰納的学習のタイミングは、現場のスケジュールやタスク内容によることが多く、 全体を習得するのに長い時間を必要とします。
演繹的学習を行うことで、短い研修期間で、現場で通用する知識を身につけることを目指しました。
演繹的学習を行うにあたって、 弊社人事ブログのエントリー でもあります通り、 中原淳先生の「研修開発入門」を参考に、設計させていただきました。ありがとうございます、いつもお世話になっています!
以下は「研修開発入門」で紹介されている方法を元に今回の研修の「目的」と「行動目標の細分化」をまとめたものです。
目的
3つの観点 | 内容 |
---|---|
なぜ学ぶことが必要なのか(学ぶ理由) | ペパボのデザインをブーストできるデザイナーになってほしい為 |
どんなことを学んでもらい、変化してもらうのか | サービスの開発環境や制作方法を把握し、ペパボデザイナーとして作業ができるようになる |
どのような変化を現場に導くのか(学びの適用・転移) | デザインで新しい感性を持つパートナーが増えることで、サービスの目標を達成するスピードが上がる |
行動目標の細分化
行動目標 | 評価方法 | |
---|---|---|
Knowledge | サービスの開発環境を説明できる。グラフィックソフトのオーサリングができる。作ったデザインを説明できる。タスクを行う理由(目的)が説明できる。タスクを行うことでどうなるかを説明できる。 | お茶会や振り返り会などで学習者にヒアリングする。メンターにヒアリングする。Githubのissueなどを確認する。 |
Practice | モックを元にソフトを使って制作物を完成させる。コーディングを完成させる。 | Githubのissueなどでリアルタイムでタスク状況を把握する。OJT時にメンターと一緒に確認する。 |
Value | 期限内にタスクが終わる。引き継ぎできるよう諸々保存されている | OJT時にメンターと一緒に確認する。 |
これらの目的・行動目標を踏まえた上でさらに、学生時代にやっていたこと、 得意なこと・苦手なことのヒアリングを行い座学内容に反映させていきました。
カリキュラム
こうしてできあがった座学のカリキュラムは以下のとおりです。
内容 | 教えられてこうなる | 講師 |
---|---|---|
グラフィック作成 | グラフィックを作る上での基礎的・実務的な考え方が身についている。何もない状態から自ら情報を集めて、目的に沿った制作を行える準備が整う。 | @maruyanma |
gitの使いかた講座 | サービスに配属されたときに行うgitの使いかたがわかる。 | @satosio |
紙ものデザイン | 紙ものデザインの作り方がわかる | @kiha |
コーディング力 | 基礎的なコーディングができる | @shikakun |
コーディング力 | 開発環境に合わせたコーディングができる | @putchom |
グラフィック作成講座
シニアデザイナー @maruyanma によるグラフィック作成講座。
グラフィックを作成する上での画面構成を軸に、基礎知識を伝えました。 主にランディングページやバナー作成に生きてくる話です。 葛飾北斎の富嶽三十六景を用いた画面構成の話は目からうろこの内容でした。
gitの使いかた講座
シニアデザイナー @satosio によるgitの使いかた講座。
いきなりgitのコマンドを教えるのではなく、サービスでgitを使うってどういうこと…?という疑問の解決から始まります。サービスのファイルやデータベースはどこにあるのか、デプロイとは何かという話をふまえ、複数人でファイルのバージョンを管理するうまーい方法としてgitがあるんだよ!という講座でした。
紙ものデザイン講座
minneの印刷物などを手がける@kihaによる紙ものデザイン講座。
印刷業者への正しい入稿方法や、印刷物をデザインする際に気をつけるポイントを学ぶことができました。 最後は実際に弊社の開発合宿である「お産合宿11」の社内募集ポスターを入稿するところまでを行いました。
HTML・CSS講座(基礎編)
「2017年HTMLとCSSの旅」と題して、ハイパーリンクの誕生の歴史をたどったり、VoiceOverの声を聞いてみたり、HTMLとCSSを取り巻く環境とその意義を紹介する講座を @shikakun が担当しました。資料はこちら。
HTML・CSS講座(応用編)
SUZURIのデザイナー @putchom によるHTML・CSS講座(応用編)。
まずはWEBアプリケーションフレームワークと開発環境の概要、最近のフロントエンド事情について説明しました。そして、それを踏まえてどのようにペパボの開発環境(Ruby on Rails等)でHTML・CSSを書いていくべきかを黒い画面をいっしょに触りながら伝えました。
次回は、OJTではどのような研修を行ったかをお伝えしたいと思います!
それでは!