こんにちは!6月22日に開催されたWEB DIRECTORS SESSION Vol.1のレポートをお届けします。
WEB DIRECTORS SESSIONとは
若手Webディレクターに情報共有と交流の場を
「WEB DIRECTORS SESSION」は、若手のWebディレクター同士で積極的な情報交換を行い、交流を深めながらスキルアップを目指すためのトークイベントです。 ひとくちに「Webディレクター」といっても、 その仕事の幅は担当しているサービスによって大きく異なります。 制作進行やマーケティング、UX、アライアンス、サポート、ライティングなど必要とされるスキルもさまざまで、キャリアプランが見えづらいこともあるのではないでしょうか。 会社という垣根を超えてこういった悩みを解消する糸口を一緒に探すことで、Webディレクターという職種の魅力とやりがいを再発見し、お互いに切磋琢磨できる場にしたいと考えています。
詳しくはイベント開催ページにて。
遠くの地からも参戦
なんとこのイベントには京都からの登壇者も。株式会社はてなのアプリチームディレクター森口さんがその人。主催するペパボからは、これまた遠くの地福岡オフィスから渕野が参戦。リモートワークが叫ばれる昨今、中継での参戦ももちろん可能。にもかかわらず長時間の移動を苦にせず会場に駆けつけるという熱の入りようです。ありがたいことです。
ペパボ東京オフィスに参加者が続々と
開始時間はちょっと早めの19時。しかも平日。梅雨の時期で天気がよくない。そんな状況の中、ペパボ東京オフィスがある渋谷セルリアンタワーに続々と参加者が集まってきました。
会場に入るとさっそくアルコール類が。もちろんジュースもご用意いたしました。
乾杯を待たずにいただいちゃうぞ!
当日のプログラム
司会進行:松下@ペパボ
- History of C CHANNEL: C Channel株式会社 高橋 絵未
- やりたい仕事の作り方: クックパッド株式会社 岡根谷 実里
- プロダクト開発のスタート地点:株式会社はてな 森口 貴之
- Webディレクターのキャリアについて:株式会社ディー・エヌ・エー 向井 毅男
- 乃木坂46に教えてもらったウェブサービスの大事な話: GMOペパボ株式会社 渕野 航介
- ディレクター座談会
- 懇親会
LT スタート
記念すべき Vol.1 のトップバッター
最初の LT は C Channel株式会社の高橋さんです。
今回の発表では、サービスの概歴や今年に入って盛り上がっている動画市場の傾向などについてお話いただきました。PDCAを回すことが叫ばれる昨今ですが、C CHANNEL でも過去にさまざまなトライ&エラーを高速に繰り返し、今にいたっているそうです。
やりたい仕事の作り方
2番手はクックパッドの検索・編成部で、クックパッドのサービスの核となる事業に携わっている岡根谷さん。
体は小さいがやってることはビッグ。思いは「世界中の人を食で幸せにしたい!」彼女からは、スペシャリティーがはっきりしていないディレクターだからこそできる意義のある仕事の作り方についてのお話でした。
プロダクト開発のスタート地点
続いては株式会社はてなアプリチームの森口さん。
森口さんは新しいプロダクトを作ることが多いとのこと。今回ははてなブログアプリでペルソナを定めてリニューアルを実施したお話でした。リニューアルにつきものの「前のほうがよかった」と言われるかもしれないという不安。これには「そうなんだよー」とおもわずうなずいてしまう方が多かったのが印象的でした。
実は会場の皆さんが一番聞きたいテーマ?
現在は株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)でUXデザイナーとして活躍している向井さんの発表は、ずばり「Webディレクターのキャリアについて」。
普段はアクセル(バイク)とアイドルの手を握る(握手会)のが趣味とのことです(笑)。
上司の営業のラインを埋める(伝わるかな、これ?)テレアポから社会人をスタートし、転籍を機にWeb制作会社にてディレクターに転身。そこではナショナルクライアントを相手にすることも多かったとのこと。さまざま肩書を経験してきた向井さんが語るのは「キャリアはすべてつながっている、断絶していない」ということ。この力強いお話に勇気をもらった方々も多いことでしょう。
乃木坂46に教えてもらった大切なこと!
最後はペパボの渕野による発表。
リリースから13年を迎えた「ムームードメイン」を2年前から担当。13年という過去の重みにとらわれず、競合他社との差別をどこで生み出すかのお話でした。それについて考えるきっかけになったのは、大好きな乃木坂46がドキュメンタリーで映しだされた映像だったとのこと。「ドメイン業界のセンターになるんや」と力強く宣言した渕野のいる福岡オフィスでは、絶賛メンバー募集中。
以上5本の LT のあとは登壇者による座談会。予め用意したテーマに沿ってそれぞれからお話を伺うというスタイルで進みました。
ディレクター座談会スタート
アルコールを片手にカジュアルな雰囲気でスタート。
マルチタスクになりがちなディレクター、タスク管理どうしてますか?
ディレクターの場合、いろいろな案件が平行して走っているためタスク管理が大変かと思います。せっかくなのでノウハウを共有してみることに。
森口さん「ぼくは Evernote に毎日日報ページのようなものを作成。そこにチェックボックスでタスクを書き出す。翌日はまず前日の積み残しをコピペして、増えたタスクをまたそこに書き出す。プレーンテキスト最高」
松下(司会)「ぼくもまったく一緒です。朝会社にきたら、1ページ追加して日付やタスクを書き出す。前日の残タスクを全部コピーして貼り付ける。で、完了したら◎、待ちのタスクは△、そんな風に管理しています。」
高橋さん「私、全部、紙で管理してます。ほぼ日手帳使ってます。日記としてもそうなんですけど、今日の ToDo を電話をかけるレベルのタスクから一つ残らず全部書きだしてます。終わったら消す。翌日への持ち越しタスクはページ変えて改めて書き写しています。前職のイケメンの先輩がやっている方法を、そのまま真似しました。」
「イケメンじゃなかったら真似しなかったんじゃないですか?」という質問を必死に堪えました。
会場の皆さんへの質問では、意外とアナログ派が多いことが判明いたしました。
受託系ディレクターと自社サービスディレクターの大きな違いは?
今回登壇されたのは自社サービスのディレクターの方々ですが、受託系のディレクターの方も多数参加されてます。それぞれにどんな違いがあるのか、大きな違いはなにか、実際の経験を元にしたお話をお伺いしました。
向井さん「実はDeNAに転職しようとした最大の理由にもなるのですが、受託で働いていたときはエンドユーザーが遠かった。サイト作るにしてもサービス開発するにしてもどうしても間にクライアントが入るので。担当の方にいろいろ聞くことはできますが、具体的な数字までは教えてもらえない。もっとダイレクトにユーザーがわかるようなことをしたいなという思いが強かった。そしていろいろ縁があってDeNAを選んだ。今は数字をダイレクトに見られますし、某ゲームでも UI を変えた場合には巨大掲示板に書かれたりと、とにかくユーザーからの反応がダイレクトに伝わってくるのが一番よかった。」
受託の時に良かったことについてもお伺いしました。
向井さん「クライアントとの関係が良好だったので、クライアントの予算で自分の好きなこと・アイデアを具現化できるという部分はよかったですね。最後の方はご指名で、○○円あるから考えてというパターンが多かったです。そういうのは面白かったですね。」
高橋さん「事業会社に出向して一緒に作ることをしていました。ただいいものを提案してもなかなか首を縦に振らせることができなくて。成功するかどうかで相手の生活にもかかわることなので仕方ないというか理解はできるのですが。どうせなら社内の説得や上司の説得などをするポジションにいったほうがいいなとおもうようになり今に至りますね。今は頭の使い方ががらっと変わりました。」
周りを巻き込んで進めていくのは自社でも受託でも共通してるディレクターの役割のようですね。
チーム内、特にエンジニアやデザイナーとのコミュニケーションで気をつけていること
LT でも話がありましたが、チームのみんなが楽しく仕事ができるようにという部分で、それぞれのディレクターが心がけていることをお聞きしました。
岡根谷さんが、なぜか左手に持ったマイクではなく、右手の缶ジュースをマイク代わりに話し始めようとする。一同爆笑。
岡根谷さん「自分より知識がある、自分より作りたいものがはっきりしている人が多いと信じているので、あまり細かいところまで詰め過ぎないほうがいいと思っている。ここをこうしてこうやってお願いしますとしてしまうとやらされ仕事になって楽しくないでしょうし、周りの人のほうが自分よりいい方法を知っているから、こんなことをやりたいんですーというのを技術的な部分もある程度理解したうえでお願いする」
渕野さん「ほぼ岡根谷さんが仰ったことと一緒です。こういうことをやったらユーザーがハッピーですよ、売上があがりますよといった話をすれば、こうやればできますよという提案がエンジニアからでてくる。ペパボのエンジニアはみんな優秀なので、お任せするところはお任せして、デザイナーもそうですけど、彼らが開発やデザインだけに集中できる環境を作ることを心がけている。お金のことや社内の調整ごとは俺に任せておけ、と言うようにしていますね。」
お二人とも、専門性の高い分野については専門家に任せるという部分で共通していることがわかりました。
プロダクトに関わるときに重要視されていることは?
森口さんの LT ではユーザーを軸にした考え方をしているとのことでした。では、はてなでは全社的にそのような文化が醸成されているということなのか、気になったのでその点についてお伺いました。
森口さん「はてなはエンジニアもデザイナーも自社サービスを使っているため、ユーザーについて語るときにユーザー = 自分というニュアンスが入りがち。俺がユーザーだという議論は、お互いに指す《ユーザー》像がことなるので話がすすみません。そこから僕のなかで共通のターゲット・共通のユーザー認識をもちましょうというのが生まれてきた。で、どうやったらうまくいくんだろうなというのでいろいろ調べていたら UX Design や Human Centered Design にたどり着いた。その辺を意識しながら自分なりに試行錯誤して徐々に周りへの波及という流れです。少なくとも自分のチームでは、ユーザーとは自分のことだとなってしまわないようにしています。」
ユーザーインタビューをしたりペルソナを作ったりしているのはそのような背景があったのですね。
森口さん「とにかく同じものを見る。じゃないと話にならない。だから時間がなくてインタビューできない場合でも、空想でもいいのでどんなユーザーかを書いたりします」
岡根谷さん「料理の基本という初心者に向けたサービスでの話。ペルソナをおくと、そのペルソナ誰なんだろう問題がでてきた。結局知らないペルソナをたててしまったんです。それでチームの中で料理が得意ではないけれども得意にならないといけない状況に陥っているエンジニアがいたので、その人が喜ぶものを作ろうというふうにした。要するにさっきの俺がユーザーだの極みなわけですが。逆にそっちに振り切ってしまったのには、ペルソナ誰なんだろう問題があったのと、そもそもその人が典型的なユーザーかどうかわからないけどこの人がいいと言うならブレないし、そういう流れでした」
共通の軸を持っておくことで、開発時にもブレがなくなるということがお二人の話からわかりました。
3年後、何をやっていたいですか?
自社サービスのディレクターはどういうところに向かって行きたいのかをお伺いしました。
向井さん「特にこだわりがないんですよね。外の世界をいろいろと見るようにしていったら、結果的にUXデザイナーと名乗るのがベターと思って今はそれを名乗っている。今後はWebの知識を使っていくのはかわらないけど、もしかすると農業かもしれない。その時自分がやれることを考えつつ、自分の市場価値を上げるということを意識しながらやっていくことを大切にしていたら、何をやっても勝てるんじゃないかなと。具体的なものはないんですがそういうマインドで今はやっています。」
高橋さん「ディレクションというキャリアを考えると2つの価値があると思っています。ITに関する知見とものごとを最後までより良いものにし続けるディレクション。後者については業界関係なしに活かせるスキルだと考えている。どんな依頼に対しても期待以上のものを提供する、たとえばアフリカ行ってこいと言われてもいい感じにやってきますと即答できるディレクターになりたいですね。」
森口さん「新卒でプランナーとして、はてなに入ったけど、前例がなかったのでロールモデルがない。なのでわりと自分のやりたいことをやらせてくれと言い続けてきたし、結果、ありがたいことに好きなこと、新しいプロダクト開発をやらせてもらっている。これからも自分が好きなものを作っていきたい。最近ボードゲームをやっていて10年前の作品なのに名作もあるし今でもモノとして残っていてぜんぜん使える。でもWebはそんなことなくて、3年経ったら辛い感じになってしまう。物理的、残るものっていいなと。なのでそういうものをやってみたい思いもあるし、はてなでもこういった事はできるんじゃないかと。」
時間がなくて全員にお聞きできなくて残念でした。
盛り上がる懇親会
今回の懇親会はビールを中心にアルコール類を多めにご用意しました。それも手伝ってか「こんな機会を待っていた」と言わんばかりの盛り上がりとなりました。
会社という枠を飛び越えた会を実現した喜びのダンス?
登壇者に直接質問をする場面も。
様子を見にきたペパボのエンジニアと話し合う光景も見られました。ずいぶんと仲良しな様子でほっこりします。
もちろん名刺交換をして今後の交流を深めるきっかけに。つながりがどんどん広がっていくといいですね。
ペパボのスタッフも皆さんとおしゃべりしましたよ。
盛り上がりすぎて、懇親会は30分延長。こんなに喜ばれるならもっとはやく開催すればよかった。
まとめ。そして、これからのこと
あらためまして、ご参加いただいたみなさんありがとうございました!ここまでレポートをご覧いただいた方もありがとうございます。
ペパボではディレクターという視点からもインターネット業界を盛り上げるべく、このような活動を行っています。初回となりました今回、想定以上の盛り上がりとなりました。懇親会でも話が尽きる気配がないほどです。
今後もWebディレクターの貴重な知見共有・交流の場を運営してまいります。
Facebookのグループに参加してくださいね
交流の機会として、イベントの外でもコミュニケーションが取れるように、Facebookでグループを作成いたしました。 ご興味あるかた、ぜひご参加ください!
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登壇者の皆さん、来場者の皆さん、ありがとうございました。また次回!