pepabo デザイン

「メンタリング」は、可能か?

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はじめまして、鹿です。カラーミーショップというネットショップ構築サービスで、決済画面のデザインを担当しています。2012年にGMOペパボの新卒採用でデザイナーとして入社して、今年で4年目になりました。

GMOペパボでは2011年から新卒採用を行っていて、今年で5代目になる新卒たちが毎年どんどん入社しています。きょうは、そんなペパボの片隅のある部署で、後輩新卒デザイナーのほらおくん (@horaotoko) といっしょに、「メンタリング」について試行錯誤したという話をしたいと思います。

「メンター」って、なに?

毎年それぞれすごいスキルを持った後輩がやってきて、みんなすごいなぁ〜とぼんやり思っていたら、ある日突然、上長 (@atakaP) に呼び出されて「ほらおくんのメンターをお願いします」と言われました。ほらおくんは、今年から同じ部署に配属された、当時新卒1年目のデザイナーです。

そのとき、「メンター」には以下のような役割を求めている、という話がありました。

  • 「メンター」は、メンタル面での悩み相談に乗ってあげる担当者のことである。
  • 「メンター」を持つと、悩みを相談することでガス抜きにもなるし、ヒントになる経験談を聞けることがあるので、成長しやすいと考える。
  • まずは週1回ぐらいのペースでお茶したりしてみてください。

まったくよくわかりませんでした。しかし、言われるがままに、ほらおくんと金曜日の16時から毎週お茶をすることにしました。

「メンタリング」って、なに?

金曜日。社食(GMOインターネットグループには無料で飲食できる GMO Yours というコミュニケーションスペースがあります)でコーヒーを飲みながら、メンタル面での相談という役割から「最近悩んでることはありますか?」と聞いてみるものの、「特にないです」とのこと。うーん、悩んでる人が悩みがあるなんて言うわけないですよね。そもそも、ほらおくんとあんまり話したこともないし。というわけで、今週のほらおくんが取り組んだ仕事の話を聞いたり、好きなウェブサイトやアプリの話をしたり、とにかく雑談することにしました。

若者と雑談するのは楽しかったです。しかし、第2回、第3回と回数を重ねるごとに、ほらおくんにとってこの時間に意味があるんだろうかと不安になってきました…。そこで、もっとためになる時間にするべく、インタビュー取材みたいに、雑談のメモをとりはじめることにしました。

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メモは、スクラムでふりかえりをした経験から、付箋に書くことにしました。最初は Keep(継続したいこと)、Problem(問題点)、Try(解決案)に分別して書いていましたが、そんなに明確に雑談できるわけもなく、ただひたすら話したことを書くようになりました。

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そうすると、話したことが付箋になって一覧できるようになるので、とりとめのない雑談のなかに、共通するものを見つけられるようになりました。例えば、定時間際にデプロイして検証が足りずに巻き戻した事件があった週には、そもそも今週のタスクが多くて忙しすぎたのではないかとか、タスクを減らす調整はどうやってできるのかといった、今週をふまえて来週はどうするかという話ができるようになりました。

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また、書いた付箋は写真に撮って、お茶会が終わったあとに Markdown で内容をまとめて、専用のリポジトリにファイルをコミットするようにしました。コミットしたら、ほらおくんに Pull Request を送って、レビューしてもらいます。

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お茶会の議事録を公開することで、その場にいない上長やデザイナーのリーダーにも、ほらおくんが挑戦したことや考えていることを、もっと知ってもらえるようになりました。実際に、議事録に書いたことがきっかけで、ほらおくんが希望したタスクが割り振られることもありました。

「メンタリング」は、可能か?

最近では、ほらおくんだけでなく「メンター」である僕も、お茶会のなかで今週の自分が取り組んだ仕事の話をするようになりました。ほらおくんの話を聞いていたらなんだか自分も話してみたくなっただけなのですが、同じように自分の話をしていると、自分のなかでなにかが巻き起こるのを感じました。

まず、言葉で誰かに説明しようとすることで、自分がなにを考えているのか整理されるということ。

そして、話をしながら、どうしたらもっと良くできるのか、自分で気づくことがあるということ。

僕たちは、ほんとうの意味で、誰かと会話をすることができるのでしょうか。

…って、禅問答みたいなことを考えてもしかたがないですが、当初の僕が想像していた、「メンター」に悩みを相談してアドバイスをいただくという「メンタリング」のありかたとは、まったく違う場所に自分たちはいるのではないかと思いました。

「メンタリング」とは、「メンター」よりも、むしろ自分自身と会話するなかで、より自分で自分のことを気づくことができるようになるための、フレームワークなのかもしれません。

おわりに

そんな週に1回のお茶会は1年近く続いています。この時間に意味があるのかどうかは、ちょっと数値では計れないところがあります。でも、僕たち以外にも、弊社の黒瀧 (@kurotaky) を中心にした有志のエンジニアたちが、定期的に集まって自分たちの仕事を話してふりかえるということをしていたりして(通称「黒瀧会」と呼ばれています。この取り組みについても心が揺さぶられた瞬間があったので、いつかこのブログで紹介したいです。)、いまペパボではあちこちで「メンタリング」の試行錯誤が行われているようです。

結論はありません。もっと良い方法をご存知でしたら、ぜひ教えていただきたいです。また、よろしければぜひご一緒にメンタリング力を高めながら、eコマース業界をみんなで盛り上げていけたらいいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

この記事は Pepabo Advent Calendar 2015 の1日目の記事でした。次回はけんちゃんくんさんです。