SRE イベントレポート

SRE/インフラエンジニアの成長を加速させる!〜評価とキャリアのリアルを語る〜 イベントレポート

SRE イベントレポート

こんにちは、技術責任者の@kenchanです。最近の生き甲斐は機動戦士Gundam GQuuuuuuXを見ることです。

2025年5月22日に開催されたForkwell様のオンラインイベント「SRE/インフラエンジニアの成長を加速させる!〜評価とキャリアのリアルを語る〜」にGMOペパボのパートナー3名が登壇しました。

アーカイブ動画はForkwell会員限定で閲覧できますので、もし見逃した方がいらっしゃいましたらぜひご覧ください。

アーカイブ動画: SRE/インフラエンジニアの成長を加速させる! 評価とキャリアのリアルを語る

この記事では、それぞれの発表を簡単に紹介しながら、当日は回答しきれなかった質問についてもいくつか回答していきます。

トーク1: SRE/インフラエンジニアの市場価値とキャリアパス

ロリポップ・ムームードメイン事業部 事業CTOの @takumakumeです。1つ目のトークとして「SRE/インフラエンジニアの市場価値とキャリアパス」というタイトルで発表をしました。

発表では、以下の「越境」「深化」「伴走」のキーワードを中心にエンジニアとしてのキャリアや市場価値を高める要素についてお話しました。

エンジニアの市場価値

トーク2: 現場SREからのアンサー『SREの技術力を評価させる技術』

技術部データ基盤チームの染矢です。スクラムマスターを勝手に名乗っているのですが特にそれといった活動をできていないので、ポケモンマスターに転換しようかと考えています。最後にやったポケモンはダイヤモンド・パールのパールです。

私は2022年に新卒として入社してからSRE活動に従事し、2025年4月にシニアエンジニアに昇格しました。つまりこのイベントで言うところの「成長を加速させられたSRE」として「評価とキャリアのリアルを語る」ために本イベントに参加しました。

講演は『SREの技術力を評価させる技術』というタイトルで行いました。

「キャリア」という語彙が自分の中になかったため内容構成に苦しみました。しかし「評価」トピックを中心に設定することによって、自身の等身大の経験を紹介しながら、再現性のありそうな「成長」方法を説明する内容を作れました。タイトルの露悪さからは想像できないくらいのいい話に着地したので、環境に恵まれているなあと改めて感じました。この登壇は、自身の内的キャリア(主観的な、働くことに対する価値観やその転換点)を振り返るよいきっかけになりました。

パネルディスカッション(Q&A)

イベント後半は、参加者から寄せられた質問に答えるQ&Aを実施しました。以下の4つの質問については、動画内で回答していますので、ぜひご覧ください。

  • 過去の評価資料の公開範囲や内容について
  • SREを目指すインフラエンジニアが身につけるべき能力やスキルアップの方法
  • グレードごとの段階設定や評価の可視化の工夫
  • 技術部の基盤部署から事業課題にアクセスしづらい場合の越境方法

また、時間の都合上回答できなかった質問も多数ありましたので、いくつか抜粋してここで回答します。

未回答の質問

Q. 個人で取り組む場合、深化と越境のどちらを優先すべきか、またスイッチングのタイミングは?

個人で取り組む場合は、楽しめる方を優先するのが良いと考えています。目的がエンジニアとしての成長であるとして継続することが重要です。小さい成功体験を積み重ねることで次なる課題が見えてくると考えています。スイッチングする1つの指標として成功体験が積めなくなってくるタイミングと考える方法も良いかもしれません。

組織に所属してエンジニアとしての成長やキャリア形成するための1つの方法として「比較優位」という考え方があります。詳しくは、ペパボCTOのあんちぽのスライドを御覧ください。

(回答:久米)

Q. SRE文化が根付いていない組織で最初に取り組むべきアクションは?

監視の整備が橋頭堡として利用しやすいと思います。サービスの死活を監視できるだけの指標が揃えば、SREingに必要な共通言語であるSLI/SLOを宣言できる材料が手に入ります。あとは、手に入った指標を判断材料にして、攻め(機能開発やトイル削減)と守り(信頼性向上)の施策を進めていくだけです。実際に運用業務の初手として監視整備に取り組んだ記事があるのでよければご覧ください。

ゼロからWebサービスの監視を作ることになったらどうする?ただしエンジニア正社員は一人だけとする

(回答: 染矢)

Q. SREチームのオンボーディングの再現性を高めるには?

うまくいったパターンを言語化してどこかに公開しておくと、後から再現しやすくなると思います。外部に公開できるくらいに抽象化しておくと、より汎用性が高くなるのではないでしょうか。SREに限らないですね。 たとえば「研修」の文脈でSREのオンボーディングについて外部に発表したことがあるのでそのときのスライドを置いておきます。

もっとSREを広げるための初学者向け技術研修設計 p.68

(回答: 染矢)

Q. SREに求められるスキルや勉強方法は?

求められるスキルとしては、久米さんの登壇内容の通りで、

  • 越境: 技術領域や職域の壁を越えられる
  • 深化: 特定分野におけるトップラインを上げられる
  • 伴走: 事業や会社の文脈で課題の発見と解決ができる

だと思いました。

勉強方法としては、自分でサービスを立ててみるというのが効くのではないかと最近考えはじめました。私自身の話をすると、大学生の頃に小規模ですが自分でサービスを運用していました。それが外部からの大量アクセスとソフトウェア設計の杜撰さによって破滅した経験がいまに活きている気がしています。

(回答: 染矢)

Q. 深化した結果、孤独や孤立を感じる個人に対して組織としてどう向き合うか?

ある技術について社内でトップエンジニアとなった人が孤独や孤立を感じるということは往々にしてあるように思います。組織としてどう向き合うかという観点では、社内で技術コミュニティを形成し、その中で「越境」を促すということがまず思い浮びます。また、事業会社であれば「事業を圧倒的に成長させる」ということが本質的な向き合い方かもしれません。現在のスキルで解決できない課題がない、すなわち成長意欲をかきたてられないことによって、結果として孤独や孤立を感じるようになることもあるように思います。「もっと深化しないといけない」と思わせるために、新しく困難な課題を次々にぶつけられるような組織を目指したいものです。

(回答: 高橋)

Q. 期初に決めた職責にない仕事をSREだからという理由でアサインされ、完遂しても評価されない場合、どのように両立を意識すべきか?

職種に対する職責は一般的に謳われる要件がありつつも、実務においては組織によって異なります。事業・組織課題の変化によって職責が変わるということでもあります。 大前提としては変化を受け入れる必要があると考えています。その上で、評価に関しては各社基準が異なるので期待値のすり合わせを定期的にするといいかもしれません。ペパボでは中間評価という制度があり、本評価の前に現在地点を確認しています。これによって、上長が考える理想とのギャップを埋める事ができると考えます。

(回答: 久米)

Q. 評価において、自薦への上長フィードバックが想定外だった場合の対策は?

私は自薦に対して「端的にいうと視座が低いね」というフィードバックをもらったことがあります。フィードバックを受け入れ研鑽を重ねる良い機会と捉えるのが良いと思います。 一方で評価が決まってからでは遅いので、定期的に面談を通して視座をすり合わせることで成長角度を上げることができると考えます。

(回答: 染矢)

まとめ

SRE/インフラエンジニアのキャリアや評価は多様であり、現場ごとにさまざまな課題があります。本イベントでは、GMOペパボでの事例を紹介させていただきました。本イベントでGMOペパボのSREに興味をもっていただけましたら、カジュアル面談もいつでも歓迎しておりますので、下記の採用サイトや、登壇者のXアカウント等にご連絡ください。